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2004.02.04

ジュンク堂のキケンなコミック売り場

久々にジュンク堂書店本店(東京池袋)の地下、コミック売り場に行ってきた。ここは豊富な品揃えを落ち着いて見ることができるため、たいへんキケン。あっという間に時間が経って、出られなくなる。

なんで行ったのか。須藤真澄の初期短編徹底救済蔵出作品集『マヤ』(創英社・三省堂書店)が、近所の書店で手に入らない。割合コミックの品揃えはあるお店なのだが。注文しようかとも思ったが、一応出たついでに見てみた。
入ってすぐの新刊コーナーに、大量に平積みされていた。早速ゲット。ついでに、他も少し見てみる。

エンターブレインの単行本は確実に増加して、棚の一角を形成している。福島聡と志村貴子が注目株らしく、大きく棚をとっている。志村貴子は棚上方に原画が展示してあった。当然だが、コミックビーム掲載時より線が細やかに出ている。ちょっと目を留めてしまう。
ちなみに、やっぱり近所の本屋で目立つ形で入ってこなかった『モンキー・パトロール』第4巻(有間しのぶ、祥伝社)が、しっかり入ってるなぁ。相変わらず紺野キタのような、目立たないけど確実なファンのいる作家のコーナーもあり。
カラーの原稿が壁に展示されているコーナーあり。入江紀子と松苗あけみの複製原画展(秋田書店からの新刊記念だろう)。しかし、複製原画展って?・・・それはともかく、単行本収録時にはモノクロページになるところが、カラー原寸大で見られるのはうれしかった。気になっていた入江紀子の新刊『フィービーはもういない』もゲット。
ここまで床面積と壁面積があると、こんな企画も常時やれるのかと関心。いやいや、募る思いをふりきって、地下から上がって帰りました、えぇ。

ちなみに、『マヤ』だけど、単行本未収録「雪魚の棲処」(ゆきなのすみか)が収録されている。
名作集『天国島より』(ぱらいそ島より、と読む)に収録された「改造計画」という作品の最後で、予告編だけあって、本編を長らく読めなかったので、朗報なり。この「改造計画」、なかなかネームを仕上げない須藤真澄に、当時の担当がついて回って改造しようとするも・・・という自爆ネタ。その最後で、編集が追い込もうと予告編を書かせたのが、件の「雪魚の棲処」予告編。
『天国島より』は、河出書房新社から最初に出て、長らく絶版状態だったのを、エンターブレインが新装再販した。こちらは今でも手に入るのかしら?あんまり見かけないような気がするけど。この頃の須藤真澄は、作者がある時期にしかかけないような輝きがあるなぁ。

ちなみに、『マヤ』には「うさぎ」という見開き2ページの作品がある。コンピュータのドット絵という特性を逆手に取ったこの作品、少女を見守るうさぎたちのてんこもりが凶悪にかわいい。こういう絵、思いつけないよ。

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コメント

ちょっと誤字や重複など見つけて、本文を手直ししました。
ところで「雪魚の棲処」、読んでみるとなんで『天国島より』に入れなかったか、なんとなくわかる。
最後のメッセージ性が強すぎて、『天国島より』に収録されている他の作品から浮いてしまったという判断だろうな。
もっとも、初期作品ならではとも思う。

投稿: kenken | 2004.02.05 15:11

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