コミックビーム5月号
純文学雑誌と漫画雑誌を同時並行して書いてなんだかなぁなんて思ってるそこのあなた。
表現するものはなんでも扱うのだ、気にしないように。
というわけで、濃い漫画が多いせいか誌面全体が黒っぽいコミックビーム。(←つまり、描き込みが濃い漫画が多いということね。)
5月号のハイライトは、やっぱり森薫「エマ」なんだろうなぁ。
時は19世紀末から20世紀初頭、大英帝国のヴィクトリア朝。名家の長男ウィリアム・ジョーンズは、元家庭教師の家の召使いエマ(主人との相性もよく単なる召使い以上の教養も身につけている)に好意を持つ。お互いに好意を持ちつつも、身分違いの恋が認められなかった頃。エマはジョーンズ家のあるロンドンを離れ、新たな屋敷の召使いとなる。ウィリアムは家督を継ぐ決心をし、家柄のよいエレノアの恋心を受け入れて、婚約宣言をする。
一方、エマは新しい主人の元で新しい生活をスタートさせる。婦人のお供をしてミセス・トロロープに会いに行った際に、なぜか気に入られる。そして、主人夫妻がロンドン行きの際のお供の一人となり、ロンドンの百貨店で偶然ミセス・トロロープと出会う。さらに、ミセス・トロロープが出席するパーティの侍女として、借り出されることになってしまう。
今回は、そのパーティシーン。今まではってきた伏線が、一本につながる。ミセス・トロロープは、実はウィリアム・ジョーンズの母、訳あって別居しているらしい。そして、パーティはウィリアムとエレノアの婚約披露。二人はそこで出会ってしまう…
ほとんど読めていた展開だけに、すごくストレートにきましたね。倒れたエマは結局ミセス・トロロープとともに屋敷に泊まることとなり、当然ウィリアムがそこへやってくる。そして、母であるミセス・トロロープもそこへ。
うーん、実をいうとストレートすぎてちょっと拍子抜けしたところもある。たぶん、一番書きたい事は、来月以降に出てくるものと、期待してます。母の謎も残っているし。
志村貴子「放浪息子」。修学旅行が終わって、今度はおねぇちゃんの付き添い。男の子にフラレたもんで、見返そうとアイドルのオーディションに応募したんだが、土壇場で一緒にということになる。しかも、女装を知ってるおねぇちゃんに二人セットで売り込まれてしまう。結果は、オーディションに通ってしまった。夢でアイドルの麻衣子ちゃんに「お前は女の子なんだから」と喜ぶも…
やっぱりそうきたか、と思うけど、こっちのほうが「エマ」よりちょっと味が深い。
巷では評判がいいらしい岩原裕二「いばらの王」。毎回よく練られた立体構成(古城脱出劇だからね)と、設定。だけど、いまひとつノリきれないのは、私が意地悪だからなのか?
二号連続巻頭カラー「Astral Project 月の光」(作・mariginal、画・竹谷州史)。これも実は同様の印象。
むしろ2年もあけて連載再開の小池桂一「ウルトラ・ヘブン」なんかのほうが、やっぱり気になるなぁ。
全然違う路線の安永知澄「やさしいからだ」。ある意味、短編小説っぽい世界。毎号テンション上げてきたけど、今号は少し箸休め気分かな(長く続くものは、そういう回があるものなので、悪い意味で言っているのではない)。
ところで驚いたのは、あすなひろし「さりげないあした」。
1959年デビュー、1972年小学館漫画賞受賞、2001年逝去。私が一番漫画を読めなかった頃の作品。
少し古いけどていねいな絵と話のつくり。ちょっと古くても、これは今でも読めるな。こういうものがあったとは、実は知らなかった。作品集全2巻をエンターブレイン(ビームの出版元)が発行するそうだ。
この会社、記憶にとどめるべき、あるいは掘り出すべき作品出版の引き受け会社となってるね。
それに関して、もう一つ、エントリを起こしておく。
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