国際ブックフェア(1)紙篇
東京ビッグサイトで開催されている国際ブックフェアを見てきた(4/22〜25)。
詳細は公式サイトをご覧いただきたいが、出版に関する展示即売会である。国内外の出版社、書籍の販売に関する展示(書棚とか、コミックのビニールカバーをかける機械とか)、印刷会社や印刷システム、電子出版などが所狭しと並ぶ。
出版業界のイベントとしてはかなり規模が大きい。書店が仕入れに活用するのも見かけたし、編集プロダクションやブックデザイナーなどが商談を行うのも目にした。海外の出版社が展示や商談を行うケースもある。ただ、全体としては出版社や編集プロダクションの出版物や方向性に関する展示、また出版に関する業務フロー改善のための展示が多い。
展示即売会であるから、その出版社が売る気で出店していれば、当然買える。ブースによっては20%オフなどを打ち出すところもある。一般読者も、入場料を払うなり、招待券を見せるなりすれば、入場して購入できる。
出版社に関しては、人文科学・社会科学系、文芸系、自然科学系、総合出版系、教育系、児童書系などに分類され、ブースが設営されている。ただ、本が大量に集積する展示会である。時間がいくらあっても足りない。洋書バーゲンもあるし。
河出書房新社や国書刊行会などの文芸系、またみすず書房・未来社・勁草書房・岩波書店などの人文系、大学出版会の集まったブースなどが新鮮。大修館書店も同様。
本屋では一つの会社の出版物をまとめて見る機会は少ない。いっぺんに並ぶと、いつもと違う切り口で見せられるわけだ。本屋の棚は必ずしも出版社の思う棚になっていないわけで、「出版社の思い描く本棚」で見せてくれているようなものか。
だいたい、本屋に行ってもなかなか出会えない本も最近は多いのだ。こういう場は、一般読者に取ってこそ貴重なはず。
また、講談社はほんの一部しか持ってきていないのに、ガンダムや京都のシリーズムック、文芸文庫、学術文庫、現代新書、ブルーバックス(自然科学)、選書と、本当に幅広くやっていることを実感する。
児童書に力を入れた出版社が集まってブースを出したり、本とかかわるキャラクターグッズや雑貨があったり(ムーミンやチェブラーシカを擁するプチグラは目立っていた)、これだけいっぺんに様々なものを見ると、かえって壮観で気持ちいいくらい。
角川書店は、ケロロ軍曹を全面に立てている。神保町駅の広告がケロロ軍曹になっていることといい、ここでもテレビアニメの宣伝を行っていることといい、これを会社のメイン・キャラクターに仕立てる模様。小学館のドラえもんを狙っているんだろうな。その裏にひっそりと、コミックビームなどエンターブレインのコミックスが並んでいた。がんばれ、ビーム!
ちなみに、河出書房のブースでは、作家ゴーリーのコーナー、文芸誌「文藝」を中心にした文芸書の平積みコーナーがあった(綿谷りさも当然ある)。その中に、鷺沢萌の手書きポップを見つけたときは、驚きとともにぐっときた。
会場を歩きながら、やっぱり本は大事だとしみじみ思う。紙で綴じた本の質感。それは本来、言説や知識を残すための仕事だったし、それがこれだけ集積されることは、素直にうれしい…ということで、電子篇に続く。
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