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2004.05.19

SunとMS(IBM)その後

4月に「SunとMSの和解と提携、その背景」および「SunとMSの和解と提携(2)」で触れた、Sun MicrosystemsとMicrosoftの提携は、IBMがモンダイなのだ、という話。
連休明けからゾロゾロと動きが表面化してきた。

「いずれMicrosoftにとって代わる日が来る」Novellが王座奪回に意欲〜VERTAS VISION 2004 Las Vegas 基調講演
  (Enterprise Watch、5/10)
米Sun、米Microsoftとの技術提携の詳細内容を発表
  (Enterprise Watch、5/12)
PCや携帯電話から業務ソフトなどを利用できる新戦略「IBM Workplace」
  (Internet Watch、5/17)
日本IBM、「Webアプリケーションを超える」クライアントソフト新戦略を発表
  (Enterprise Watch、5/17、上と同じくWorkplaceの記事)
IBM、「Workplace」デスクトップソフトに関する新たな提携企業を発表へ
  (CNET Japan、5/17、上記の補足などに)
マイクロソフト北川氏、「Linuxは無料ではないことを理解してほしい」〜GET THE FACTS SEMINAR ゼネラルセッション
  (Enterprise Watch、5/17)
日本IBM、SOAに基づいたミドルウェアとコンサルサービスを発表
  (Enterprise Watch、5/18)
マイクロソフト、Notes/DominoからSPS/WSSへの移行ツールを無償提供
  (Enterprise Watch、5/18)
サン、Linuxベースの統合デスクトップ環境「Java Desktop System」を発売
  (Enterprise Watch、5/18)

もういっぱいあるんで、とりあえずインプレスの媒体からリンクをとり、CNET Japanでちょっとだけ補足。もちろん、ITmediaにも記事が多数ある。
なお、上記記事群に対して、SAPやBEAの動きと、MicrosoftのLonghorn Serverの予定を加えれば、より幅広い視野となって、とりあえずはOK、というところか。
それぞれの記事を要約してもかえって面倒なので、私のことばでざっと眺める。

・デスクトップPCのアプリケーション環境の見直しを提唱しているのが、Sun、IBM、Novell。キーワードは、Java、Rich Client、Linux。
・Lotus Notesを所有するため、インターネットを介してのグループウェア機能からオフィス市場を新たに切り開いていこうというのが、Novell。

・Microsoftのオフィス市場に立ち向かうのが、Sun。しかも、Microsoftとの技術提携の成果と、Javaを生み出した会社である点を、フル活用しようとしている。

・Webサービスとグループウェアのおいしいとこどりをしようというのが、IBM。


・IBMはサービス指向アーキテクチャによるコンサルティングサービスも視野に入れて、より包括的な展開を目指す模様。Javaのエンタープライズの世界で力があるBEAや、最近特に競合が目立つSAPとの差別化をはかり、デスクトップ市場との連携まで視野に入っている。

・IBMはさらに、自社のPOWERチップに関するコミュニティを築いて、コンピュータに関するあらゆるものを提供する会社の強みを、さらに強化しようとしている。

・Microsoftは、なかなか切り崩せなかったLotus Notesの世界を、自社製品への移行ツールを使って取り込む所存 → その先にはLonghornのクライアントとサーバーの世界。

・Microsoftは、Linuxに傾き、Windowsを悪玉呼ばわりされることをほぐしていく姿勢 → その先にはLonghornのクライアントとサーバーの世界。

念のために触れると、Linuxは安価で安定したデスクトップになりうるが、決定打となるアプリケーションがなかったために、いまひとつ普及しなかったと言われている。また、Javaを中心にしたネットワーク・サービスのための環境も、いよいよ整ってきた。そこから、Sun、IBM、Novellがほぼ同時に、このタイミングでぶつけてきた。特に、自社OSと自社CPUにこだわってきたSunが、ハードもソフトも使用した分だけお金を払えばよいという「ユーティリティ・コンピューティング」にシフトして、Linux上での展開を含めた戦略を打ち出してきたことが、注目されている。
オフィス・スィート製品などは本来、PC関連のパーソナルな製品としても取り扱われていたけれど、1990年代とは状況が変わっている。インターネット利用、それもブロードバンド前提が当たり前となり、あらゆるデータをネットワーク経由でやりとりするようになってきた。デスクワークを支えるためにはむしろ、サーバとの連携を前提とした世界が必要になっている。Microsoft Officeのように、大きなアプリケーションが集まって連携する形よりもう一歩踏み込んで、簡単な連絡からファイル共有、文書作成などがシームレスに、セキュアに行える世界。もちろん、Microsoftも自身を変革させようとしているし、各社の一連のオフィス・スィートが本当に新しい世界を開いているかをユーザが検証していくのもこれからだ。

ソフトウェアの開発も重要な観点になる。開発手法は、Javaの登場と普及をきっかけに、大きく変わってきた。問題がでかいので深入りはしないが、しっかり設計して、しっかり作り込んで、その後でじっくりテストして、というサイクルでは追いつかないほど、ソフトウェアに要求される性能も規模も巨大になり、それに応じた開発方法が要求されるようになった。ソフトウェアのパーツを手早く開発してテストしながら、全体像に結びつけていく作業も様々な機会に行っていく。さらに、ネットワークの利用を最初から考慮して、内部構造から使用感まで、よりスマートなものに変えていく必要があった。
こうしたことは数年前から(開発者の間で特に)話題になっていたが、今年に入って大会社が製品を多数発表する動機にもつながっているはずだ。

デスクトップPCの開発仕事をする場合でも、エンタープライズシステムに絡む仕事になる。さらに、組み込みシステムに関しても、ホームサーバーと各機器のネットワークが当たり前になりつつある。通信インフラのさらなる向上とICカードやRFIDなどの広がりに応じて、あらゆるデバイスがエンタープライズシステムと関係してくる構図…うーん…

それはさておき、あらためて、大きな市場をすでにおさえたMicrosoftと、かつてそれを成し遂げており、再び成長の道を歩んでいるIBMという2つの会社が、いかにデカいかを思い知る、一連の発表でもある。
ただ、インターネットという形のない世界を、筋の通った見えやすい環境(しかも柔軟な変化と発展に耐えうるもの)にしていくことが、本当に始まったばかりだと受け止めておいたほうがいいと感じている。
今後どうなるか、すぐにはわからない。ただ、Linuxの大量導入が進む中国やEUのことを考えると、Microsoftが必ずしも有利とは限らない。なにしろ、ここに名前が挙がった企業は、それまでMicrosoftとの激烈な提携と闘いの両方をやってきた会社が多いのだし(Sunだけは初めてになるけど)。

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