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2004.08.05

青山ブックセンター再建、続き

丸一日かかってしまう予定が何日も続き、ABC再建の話題以外は更新できなかった。
移動中に群像連載の橋本治「権力の日本人」を2ヶ月分まとめて読んでいたり。平家物語の橋本治流解説。これ、開始当初は期待してなかった(すまん)けど、けっこうおもしろいです。橋本治文体に慣れるよう頭をチューニングするのにちょっとかかるかもしれんけど、日本の組織人の官僚性などいろんな日本の今を考えるためのヒントがあちこちに散りばめられてる。まだ連載半ばだけど。

さて、そのABC再建記事へのトラックバック、多謝。

Think negative, act positive記事からのトラックバックは、私のABC再建の短い紹介じゃなくて、7月17日の記事「青山ブックセンターの営業停止の反響の大きさ」に対してだった。たぶん、私の一連の記事の中では、ここが一番考察の多い記事だったからなのだろう。
洋販という取次が書店を経営して、タワレコなどの店に買っちゃう勝っちゃうのは問題があるかもしれないけど、やってくれという声。Apple Computerが直営店をやっちゃってるこのご時世、それもありなのかもしれない。
もちろん、洋販がやるからといって、洋書にシフトするだけではなかろうとも思う。国内の本も含めて、やはりここ10年ほどの勢いがなかった書棚を、もう一度リフレッシュしてほしい、そのために、既存の流通網に穴をあけてもいいんじゃないかとも思う。版元から直接仕入れて並べるのを得意とするくらいでもいいと思うし。

*second message*記事からのトラックバック。私の記事で知った上で、洋販のプレスリリースを引用している。丁寧にどうもです。
新宿に肌のあう書店がないから、ABCを利用していたという客は多かったようで、私もそうだったのかもしれないな。でも、一番の問題は青山本店がけっこうすいていて、そこを再建させることなのかもしれない。あそこは人が流れてくる場所じゃなくて、わざわざABCヘ行かなければいけなかったから。六本木店、なくなった新宿店よりも、ここがなんとか軌道にのってほしいと、個人的には思う。

BigBanの記事からのトラックバック。確かに、ここを愛用している人に限ってつぶれるとは思っていなかったろう。
一部報道では、問題があったのは書店じゃなくてグループ経営の方だという記事もあったし(7月24日の記事参照)、後に紹介する新文化の記事もそう書いている。そうであったとしても、書店というのは薄利多売、再生は簡単にはいかないと思う。再開しても、前よりパワーダウンしたと言われては、かえって人が離れる可能性もあるだけに、気合いを入れ直したいい顔で再会したい。

***

本屋が情報のポータルとして長く機能してきたけど、インターネットが出て以来揺らぎつつある。ABCの再建がうまくいったとしても、中小の書店が厳しい状況には変わりない。
ジュンク堂のようなメガストアは、出版中のたいていの本と重要な絶版書までがあって、棚を見ることが出来て、ちょっと座って読めて、よく本を知っている店員も抱えていて、端末で検索もできるという具合に、既存の本屋と検索型ネット書店のいいとこどりをしている。だから人を集められるし、ほしいものがいくつも見つかってしまうと、どれか一つは買っちゃうという心理をうまくついているように思う。しかも、池袋は現在、埼玉と東京西部両方からの仕事人(含自由業)・学生が大量に流れ込む場所である。本は神田という常識がまだ生きていた頃に、あえて神田につくらなかった見識はすごい。たぶん関西が本拠で、関東の常識にとらわれない上に、商売人としての計算もきっちりあったのだ。

本と言えば、喫茶店・カフェ。大規模な本屋にカフェが入る昨今の事情だけでなく、昔から本屋のあるところに喫茶店、カフェはつきもの。喫茶店の経営事情もけっこうタイヘンだという。
小規模経営の喫茶店がかなり減っている一方で、チェーン店がちょこまか増加していること、さらに客を店が客を選ぶくらい個性的なカフェがぽつぽつ出来ていること。
さて、書店がメガストア中心になって中小規模店が減っていること、効率よく売れ筋をおく大型書店(メガストアより小さいが通常よりは規模の大きな書店、あおい、Book 1st、旭屋など)はそれなりに生き残っていること。その一方で個人経営の、やはり顧客を選びそうな古書店は繁盛していること。
この二つは、関係がありそうに思える。ちゃんと生き残りたいなら、売れ筋を揃えて、店のイメージを明るくそこそこ感じのよいものにして、様々な人々にそこそこ便利な店として来店されるようにすること。そうじゃなければ、メガストアに到達するか、個性的な小さな店で常連を集めていくか。

ABCは、個性ある東京の中型書店だった。その個性は、ここ10年くらいで薄まっていく傾向も感じられた。とはいえ、他の大型書店にはない書棚であり、だからこそ惜しまれた。
今までの反省の上で再出発するのもいいけど、どんな客が店を愛して買い物をしていたか、またどんな客にこそ愛されて長く来店されたいか、そういう人々はどれくらいるだろうかを描いて、今までの店にとらわれずに、長くしたたかに商売をしてほしい。
上記のカテゴリーなんか粉砕するくらいに。

***

さて、新文化の8月4日のWebフラッシュニュース。引用する。

青山BC、3社合計負債30億円

8月2日に債権者に宛てた文書で明らかに。破たん原因については、ビル建設のために土地購入・建物建設資金を借入れたがバブル崩壊とともに土地の価値が下落、結果債務超過に陥り、運転資金も借入れできなくなった。そのため、栗田への支払いが滞り、同社から破産申立てを受けたという。

洋販の再建案詳細はこれからと、先日の記事にもある。洋販自身だってタイヘンな状況のはず。ツッコミドコロ満載の再建だろう。それを跳ね返して、再起してほしいな。

というわけで、上記の3サイトの他に、plus 87記事にもトラックバックをば。

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コメント

管理人のkenkenです。誤植があったので、ちょっと手を入れました(訂正線で消してあるところ)。

投稿: kenken | 2004.08.05 13:23

祝!青山ブックセンター営業再開決定!良かった~。

投稿: kurimaru | 2004.08.24 15:12

コメントどうもです! アサヒ・コム他で報道されていますね。まずは営業再開、めでたしです。以前にも増してよい雰囲気で再開してほしいですね。

投稿: kenken | 2004.08.24 19:14

この記事へのコメントは終了しました。

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