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2004.09.13

EWIはフュージョン向けの楽器?違うと思うんだけどね

昨日の記事の補足というか、続きというか。

EWIはジャズ・フュージョン系のミュージシャンが活用することが多く、それ以外の分野の人が仕事に使う例をあまり聞かない。スタジオでは、ポップ系でもシンセの音を管楽器っぽく表情つけようとほんのたまに使うことがあるらしい。でも、目立つ使用例は少ない。Tom Scottや伊藤たけしのLyriconのイメージが強いからか、またMichael Breckerという強力な人が演奏しているからか。
まぁでも、内蔵のアナログ・シンセサイザーを鳴らす、またはMIDIシンセサイザーを駆動する、あるいはその両方をミキサーで混ぜる、といった使い方からすれば、どうしてもフュージョンかポップくらいになりやすいのかな。

確かにジャズ・フュージョン畑の人が使い出したんだけど、別のその分野のための楽器というわけじゃないはずなんだよな。

EWI以前の管楽器型シンセは、Lyriconというもの。これは商標名であって、Lyriconという楽器の分野があるわけじゃない。クラリネットとソプラノ・サックスを混ぜたような独特の管体で、最初は内蔵音源を鳴らしていたそうだ。私が吹いたことがあるのは内蔵音源がなく、MOOGやOberheimのアナログ・シンセサイザーを鳴らすタイプ(Lyricon Driverという)。
音源内蔵の初期のLyriconを活用していたミュージシャンに、Chuck Greenbergという管楽器奏者がいる。ウィンダム・ヒル・レーベルに録音が多数。ギター奏者William Ackermanのアルバムへの参加、及び自身のグループであるShadowfaxでのアルバムなど。分類からすれば一応ニュー・エイジ系の走りということになるようだが、いわゆるニュー・エイジ系とは違うように感じる。民族音楽やアコースティックな響きと、エレクトリックやジャズ・フュージョンとの融合とでもいうか、いわゆる癒しを目指した音楽とは異なる。
聞いてみるとわかるけど、笛やオーボエのような音色を使いつつ、アイリッシュ・フルートなどでは素直に出来ないパッセージを吹いている。Tom Scott他の、ジャズっぽさをどこかに残した音楽とはまったく違う分野で使われてきた。
William Ackermanのアルバム "Confering with the moon"、及びShadowfaxのアルバム "Shadowfax"は、一度耳にしてみていいです…こういう音楽が退屈な人もいるだろうけど、元祖はやっぱりどこか違うもんです。
(Chuck Greenbergは1995年に亡くなったという。)

EWIが出た頃の1988年、日本サキソフォーン協会でウィンド・シンセと弦楽器のための協奏曲を演奏したという記録がある(こちら)。残念ながら、私は聴いたことがない。フレデリック・ヘムケといえば、アメリカのクラシック・サックス界の大御所だ。こういうところはアメリカらしいかもしれない。
そっち系といえば、マイケル・ナイマン・バンドのサックス奏者、サイモン・ハラームはEWIを吹くという話を聞いたことがある。マイケル・ナイマンの響きを思うと、さもありなんという気がする。

でも多分、こんなところのようだ、いろいろな試みは。
EWI、あるいはLyriconやWXといった楽器は、内蔵音源で音を作るから、その楽器でないと出来ない表現というのを、見出しにくく感じるのだろうか。でも、電子管楽器らしい表現って、やっぱりある。アナログ・シンセの音に、息の強弱をのせていて、息に対する音の変化が独特。
しかし、音色の変化と音量の変化の幅が、もっと広いといい、ということは、吹いていても聴いていても思う。そういう意味では、まだあれこれと改良の余地もあり、面白い発見があるのかもしれない、電子管楽器は。

***

オンド・マルトゥノという楽器がある。フランスで20世紀前半に発明された、シンセ以前の電子楽器。日本では原田節氏(節でタカシと読む)が第一人者。メシアンのトゥランガリラ交響曲では極めて重要なパート。オーケストラの大音量を飛び越えて、天の声のように響くのだ! 地上から放たれる光、歌。聴くと鳥肌が立ちますよ。
この楽器の場合、多彩な音を持っているけど、基本的に聴けばすぐ「あ、オンド・マルトゥノだ」とわかる。そういう決定的なナニかがあって、生きてるみんなに響き合う音として、作曲家に「書きたい」と思わせるところまでいかないと、楽器としてのジャンル確立は難しいのだろうか。
その意味では、覚えやすいメロディを、声とはまったく違う音で響かせる、というスタイルを確立したスクェアはえらいのかもしれない。

それにしても、私はヘンな楽器が好きなのかも。リコーダー、バロック・オーボエ、コルネット、アコーディオン、笙、オンド・マルトゥノ、テルミン、EWI…
リード系の楽器が多い! しかも、メジャーじゃないもんばっか。

それはともかく、EWIなどの電子管楽器は、決してフュージョンだけのための楽器じゃない、ましてや歌的旋律を奏でるだけの楽器じゃない、ということで。

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