水上勉氏、逝去
作家の水上勉氏が逝去された。昨日、外出先で知った。帰宅して、新聞でも確認する。享年85歳。
・アサヒ・コムの記事(9/8)・YOMIURI ONLINEの記事(9/9)
どちらも「飢餓海峡」や「五番街夕霧楼」に触れているけど、「一休」などに触れているのは朝日のほうなのね。私は氏の小説がもっともよく売れていた頃は触れておらず(まだ幼かった)、「一休」が発刊されてだいぶ経ってから入った。大学生の頃、哲学や宗教や心理学や認知科学などの本に埋もれている中で読んだ。理屈を超えた生身の人間の濃さを一休に見出した直後に、見つけた。水面に浮上して呼吸をしたような気分になった。水上勉氏と柳田聖山氏の一休が、私にとっての双璧。
それに、もうひとつ。京都を散歩するのが好きな私にとって、鍵善良房の喫茶部でくずきりを注文したあと、そこにある水上勉氏のくずきりについての文を読むのも好きだった。何度触れても飽きない。今のきれいな建物になる前、真夏に2階へあがって麦茶とお干菓子でほっと一息ついた時、ふと目に入った。それ以来、何度読んだことだろう。
晩年の「電脳ぐらし」も含め、ご尊敬申し上げておりました。素敵な方が亡くなられるのは寂しいけれど、どうか安らかに。合掌。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント