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2005.01.29

ちょっとだけ気が重い

とある日、とあるチェーン系カフェ。
混雑の中、なんとか席を見つけた。少し離れた席に、高校生のカップル。彼女は制服、彼氏は私服(いい感じにこなれたジーンズ)。
席をとろうと歩いた時に、ちらりと見えた問題集は日本史か。黙々とノートに答えを書いている。
彼女は問題集に専念し、彼氏はケータイを出したり引っ込めたり、時々机に突っ伏したりしていた。やがてケータイをポケットに突っ込んだ。

小声の会話が始まり、ちょっと彼氏がからかったのか、彼女が腕を動かし始めた。何かをとって、それを取り返そうとする、手がひょいと逃げて、彼女がちょっとムキになって。
まぁよくある光景だ。
動くたびに、彼女のつけたパルファムが周囲に漂う。「あたし、お菓子より甘いの」と彼氏に宣言するような香り。

バシャリ!!
周囲の目が集まる。
アイス・ラテの蓋があき、床にコーヒーが散っていた。彼女のスカートに少しかかったようだ。隣に誰も座っていなかったのが、せめてもの幸いか。
人間、こういう時は呆気にとられるらしい。一瞬動きが止まり、続いて小声で「あたし、悪くないからね、あんたが始めたんだし」

すぐ脇の、OLらしき四人組の一人が立ち上がると、彼女にポケットティッシュを一つ差し出した。
いえ、いいです、などと言う彼女に、早く拭きなさい、とれなくなるよ、と持たせる。受け取ってからスカートや机をのろのろ拭き出した。
彼氏、動きもしない。
店員が気づき、周囲への影響や、二人の服を見てから「床を拭きますので、そのままで、少々お待ちください」

しかし、店員は他の客につかまり、なかなか戻ってこない。
今度は少し離れた席で、資料を読んでいたであろう女性が立ち上がると、二人に近づいた。
「これ、使って」
彼氏に視線を向けず、茶色のタオルを彼女に差し出した。悪いです、受け取れないという彼女に、返さなくていいから、と強引に持たせて、席に戻った。
彼女は俯き加減にスカートを拭いだした。

二人はまた小声で何かいってるようだ。
「あんたが悪いんだらかね」
「おれじゃねぇよ、関係ねぇよ」

店員の事後処理は、さすがに手慣れている。
もう誰も見ていない。夕刻の混雑がすぐにかき消してしまう。

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