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2005.01.20

日本語タミル語もののあはれ

アサヒ・コムで検索しても出てこないのだが、そして1月18日の朝日新聞朝刊は、すでに油取り紙としてうっかり使ってしまったのだが、文化総合欄に丸谷才一氏のエッセイ掲載日だった。
昨年、吉田秀和全集へのコメントがすばらしく秀逸だった。今回もすぐに読んだ。

日本文学は万葉集も王朝文学も、そして中世から近世を経ても男女の愛を扱ってきた。一方、中国は異なる。漢詩も文学もそんなものが前面に出てこない(「紅楼夢」なんかは例外であるわけで)。あれほど中国に憧れながら、なぜか。
丸谷氏はここで、大野晋氏の「日本語タミル語起源説」で触れられている「あはれ」の語源に共鳴していく。そして、タミル語に五音・七音からなる詩歌であること、男女の愛をうたうことが当たり前であることに触れ、この説はバカにできないゾ、と(いう意味のことを)語るのである。

ちなみに、日本語タミル語起源説とは、日本語の起源はタミル語にある、というもの。大野氏は、万葉集の時代の発音体系などを研究し、それを一般にもわかりやすく解説したことで有名。そういう方が、日本語の起源を求めて、インドに行き着いたという。
ただ、言語学にも発生や起源を探る分野があり、タミル語と日本語の関連性に肯定できる材料が見つからない、としていたはず。(出典をきちんと覚えていなくてすまんです。)

ただ、日本語は複数の言語が混じり合っていることは、多くの言語学者から指摘されていて、それがどういう時代にどういう順番で起きたかで、諸説がある。
言語学的にみて根拠がなくても、民族学・民俗学・考古学などから間接材料が出てくればまた変わるのかもしれない。
丸谷氏は、日本の鉄器が中国から入ってくる以前の年代で発見されたことから、インドから入ってきたと考えられるし、そうみれば千数百年を経て万葉時代以降の言語的な成熟にも説明がつくではないか、と触れていた。
(さすが、「輝く日の宮」の作者!)

この説は、言ってみれば江上氏の「騎馬民族が南下して日本王朝の基礎となった」みたいなところがあると感じていた(この説は一応否定されているが、根強い支持者もいる)。
思ってもみないところから援軍が現れたか、というところかな。
おもしろいのだが、だが…この説はなんともいえないところだなぁ。
(でも、こういう話は好き。)

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