モーニングに異動?した「ピアノの森」
先週からモーニングで、一色まこと「ピアノの森」の連載が再開している。
ヤングマガジンアッパーズに連載していたが、雑誌が休刊。単行本も第9巻まででストップしていた。
クラシック音楽の、ピアノをテーマにしたビルドゥングス・ロマン(成長物語)。
いまさら成長物語なんて、といわず、まぁ第1巻から読んでみてほしい。
少年篇は特にいい。
父に名ピアニストを持つ雨宮修平は、療養のために転校してくる。そこには森の端という色街に住む少年、一ノ瀬海(いちのせ・かい)がいる。野生児のような彼のピアノに触れるところから、物語が動き出す。
森の中のピアノに育てられる、という設定はマンガならでは。
マンガでないと受け入れにくい設定というのはある。
たとえば榛野なな恵「Papa told me」。テレビドラマにもなったこの有名な作品、知世ちゃんがいやみなく読めるのは、マンガというメディアの持つ、説明を最小限に済ませてファンタジーに入り込んでいく特性を、最大限に活用しているからだろう。
「ピアノの森」も、いわゆる少年マンガらしい表現を多用している。他の一色作品と、画風や表現がそう大きく変わらない。
その少年マンガらしい熱さが、スポコンとはまた異なる方向に流れ出して、成功している。
クラシック音楽をテーマにしたマンガは、二ノ宮知子「のだめカンタービレ」が旬。
だけど、私はさそうあきら「神童」が好き。画面から音が聞こえてきそうな、という作品は、これだろう。
「ピアノの森」は、こうした作品とは明らかに違う。音楽ネタ、音楽業界ネタではなく、音楽と成長がテーマになっている。(天才の話であることには違いないのだが。)
そして、青年篇以降は、真っ向から音楽を描いていくことになる。
一色まことは、少年マンガの名作「花田少年史」を描いている。そして、少年の成長が、青年期の飛躍に続いていく作品を、初めて描くことになるはずだ。
この作品が本当に飛躍するのはこれから。
さて、作者はどこへ連れていってくれるんだろう。
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