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2005.05.14

チェロとは思えぬ音数、鈴木秀美の新盤

一曲一話でとりあげたばかりの、バッハ作曲 無伴奏チェロ組曲
先月出た鈴木秀美の新盤をやっと買えた。人に勧めておきながら、自分が買いに行くと、その店では売り切れということが数回。結局、HMVの新宿店でも手に入らなかったことに業を煮やし、他の店の在庫を尋ねて、在庫があった店のものを取り押さえてもらった(←普通、取り置きといいます)。

旧盤の、ビルスマ以上に素直で軽みのある表現もよかったと思う。
だけど、この新盤はちょっとすごい。
第5番、プレリュードの冒頭。ふわっと身体の周りを包み込むような和音が響き、旋律が床から立ち上がってくる。他の演奏と一聴瞭然の違いは、和音が厚くずーんと響くこと。ちょっと大げさに言えば、オルガンのように和音が持続し、その合間をソロがつないでいくように聴こえる。
そう、このプレリュードは、こんな風に聴こえてほしかった。
それが、そのまま実現された演奏。
声部のコントロールも実に生き生きとしている。かといって、演劇的な演出をして、過剰にドラマを生み出そうとせず、上の声部と下の声部の会話はさりげなく、とても自然。

また、旧盤よりも間をたっぷりとっている。余韻をたっぷり楽しめて、響きに浸る喜びをストレートに味わえる。そのためか、速い楽章の達者な動きでも、フレーズごとの呼吸はきわめて自然。極端に言えば、管楽器で吹いているような感覚さえある。でも、生み出されるのは紛れもない、渋味豊かなチェロの響き。

バロックチェロの演奏は、ビルスマから20年を経て、ウィスペルウェイと鈴木ら中堅のよい録音により、まったく新しい地平に至ったようだ。
劇的なウィスペルウェイと、きわめてさりげない凄みの鈴木。
ほんとうに、この曲集は尽きることがない味わいがある。

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