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2005.05.11

第9回手塚治虫文化賞は…

手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)の、第9回受賞者が発表された。

・大賞:「PLUTO(プルートゥ)」浦沢直樹・手塚治虫作ほか
・新生賞:「夕凪の街 桜の国」こうの史代
・短編賞:「上京ものがたり」「毎日かあさん」西原理恵子
・特別賞:川崎市市民ミュージアム

私が見出しを目にした瞬間に思ったこと。
「MONSTERで受賞済じゃーん、浦沢直樹は」
ちなみに、5/10付の朝日新聞朝刊には、選考経過、受賞者の声も掲載されている(現在のところまだWebページには出ていない)。
そこに出ていた、1次選考通過作品。

・「PLUTO(プルートゥ)」浦沢直樹・手塚治虫作ほか
・「ヒストリエ」岩明均
・「水鏡奇譚」近藤ようこ
・「のだめカンタービレ」二ノ宮知子
・「舞姫テレプシコーラ」山岸涼子
・「夕凪の街 桜の国」こうの史代
・「団地ともお」小田扉
・「百鬼夜行抄」今市子
・「リアル」井上雄彦

これなら、近藤ようこの「水鏡奇譚」に…
同じようなことを考える方はいるもので、やはり選考会でも浦沢受賞済と「水鏡奇譚」は検討されたという。
議論を経て、2004年の代表する作品ということで、受賞が決まったそうだ。
私は、まだ読んでいない。完結してからじっくり読もうと思っていた。
なので、作品への評価はしないでおく。けれど、個人的に浦沢直樹をあまり買っていないんだよな。まぁ誰にでも苦手というのはあるものです。
(ちなみに音楽ではワーグナーが苦手だ。でも、ワーグナーのすごさはわかるぞ。)

「水鏡奇譚」、いい作品なんだけどなぁ。
ただ、人により、評価が分かれる作品だとも思う。ものすごく強く情緒に訴えかける一方で、たとえば「陰陽師」のような細かく目の行き届いた構成力をほしがる人もいるような気がする(私はそれでもじゅうぶん評価に値する情の表現だと思っているが)。このあたりが分け目になったのかもしれない。
「ヒストリエ」は、ここでは何度も取り上げてきたけれど、まだ話の序の口であり、受賞とかなんとかいう段階ではないだろう(逆に言えば、第2巻まででここまで注目を集めるのはすごいとも言えるけれど)。

ほか、雑感。
賞とは基本的にお祭りであり、通常の漫画賞や文学賞は、話題作りと販売促進を担っている(それが悪いわけではないので、念のため。作家だって版元だって、売れればうれしいし、次の作品の資料や取材に費やす予算も増えるのだし)。そういう事情から、多くの漫画賞は「いま売りたい作品・旬の作品」に与えられがちではある(つまり、最終選考に入る前に、そういう作品が上がってくる)。
一方、手塚治虫文化賞はそれとは少しスタンスの異なる、マンガ好きが選びそうな作品に賞を出す側面が強かったと思う。
その意味では、2004年は平均レベルが高くても、突出したものが少なかった年だったのかな…それでも、前回ノミネートされた羽海野チカ「ハチミツとクローバー」が、「のだめカンタービレ」と一緒にもう一度入ってきてもいいんじゃなかったかなぁ、と思ったり。

ちなみに、G.W.中に開催されたコミティアで、こうの史代原画展を見てきた。
ネームから下絵を経て完成する過程のこまやかさ。またカラーやモノクロの原画の線密度の濃さ。本棚から抜き出してきた本達。すばらしい展示だった。ご本人もいらしたり(取材を受けておられた模様)。
文化庁メディア芸術祭で賞をとり、そして手塚治虫文化賞というのは、さそうあきら「神童」と同じ。まさしく文化の名に値する作品を、心から祝福いたします。

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