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2005.07.20

王子ホールのエレクトラ3部作におけるコラボレーション

先日、簡単に触れた笠松氏の音楽劇「エレクトラ3部作」
私は初年度を見逃しており(熱で倒れて行けなくなった)、第2部と第3部のみの観賞だった。残念であるが、仕方ない。全体に関する感想は書けないのだが、2年連続で観て聴いて、感じたことを簡単に記録しておく。

この作品は、様々な見方をされる。
実力ある歌手と器楽奏者達による、室内楽編成オペラとしての側面。
複数の人を語り分ける、朗読劇としての側面。
クラシック・バレエとは違う意味での、舞踏劇としての側面。
ギリシャ古典劇を再構成していることからくる、ギリシャ古典悲劇としての側面。

会場には、通常のコンサートと異なり、普段なら同居しそうにない人々が集っていた。音楽(ことにオペラ)愛好家、バレエやダンスの愛好家、演劇愛好家といった人々は、それぞれなんとなく固有に雰囲気を持っているが、だいたい一同に会することはあまりない。

逆に言えば、それぞれのバックグラウンドを持った方々が、それぞれの観点から眺めがちになる。
そうなると、口さがない人の中には「こんなのはギリシャ劇じゃない」「音楽、無調か民俗調か、ギリシャなのかはっきりしてほしいなぁ」などといった、自分のバックグラウンドから来る一貫性にこだわった批判も出てくるのかもしれない。
でも、この舞台は、そういう観賞姿勢からは、味わいが広がらないのだ。

歌も、踊りも、語りも、そしてオケも、中堅の一流どころが(場合によっては大御所が)勢ぞろいしている。
もちろん、それぞれの分野なりにすばらしいパフォーマンスがある。
ただし、素晴らしい舞台における最大の成果は、それを単に並べて「すごいでしょ?」などという見せ方をまったくしていない点なのだ。
語りの演技が凄みを増すほどに、歌が流れとテーマを深め、その中で感情のうねりが踊りの腕や足から迸り出る。それぞれがすばらしいパフォーマンスを繰り広げるほどに、他のパフォーマーがすばらしく敏感に反応し、客席も含めたすべての人々の呼吸を集めていく。

こういう舞台が、日本人の企画と作曲による舞台で実現したこと自体が一大事件だった、というのが最大のポイントだったのだと思う。
表に出てこない作詞・台本協力の岡部おさみ氏、及び演出・台本の鈴木勝秀氏のお二人が、中心となる作曲家の笠松氏やホールのプロデューサーらと実に緊密に仕事をなさった成果だったことも明らかだ。

コラボレーションというものはまことに難しいようで、企画屋が動員を当て込んだコラボの多くは、目を瞑り、耳を塞ぐものが多い。
この新作音楽劇は、そういうことが(もちろん)まったくなかった。従来の音楽劇の範疇を超えることを目指しているのは明らかだし、意欲的な協業となったからこそ可能になった。
何度も強調されていい点だと思う。

***

ここまで書いて更新しようとしたら、「感激コンサルタントの日常的観劇ブログ "Knock, and the door"」に「弟オレステスの放浪と帰還」という記事を発見。
先に同じような内容で書かれていますね。
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