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2005.08.16

山川直人のコミック「コーヒーもう一杯 I」、「口笛小曲集」

ジュンク堂書店池袋店の地下は、おそろしく巨大なコミック売り場だ。
とある日、巡回していると、海外から来たらしい3人娘がやってきた降り立った。
眼が青だったり、グレーだったりする3人娘。とにかくまずは一周して様子をつかむと、散ってそれぞれの得意分野に入り込んでいった。
どこかとんがったオーラを発しつつ、まぎれもなくコミック・アニメのマニア(つまりはオタク)のにおいがする…
おそらく愛知万博とコミケのついでに寄ったんじゃないだろーか。
それにしても、洋の東西を問わないらしい、オタクの空気。万国共通?

***

閑話休題。
コミックビームに連載中の山川直人「コーヒーもう一杯」。
単行本第1巻が、7月下旬に刊行された。
同時に短編集「口笛小曲集」も刊行。
白をうまく使った品のいい装丁。いかにも叙情的な画風によく似合う。

「コーヒーもう一杯」は、ここでも何度か触れてきた。
コミックビームは狂気一歩手前の、えらく力の入った作品が多い。それだけに、竹本泉の力の抜け具合と、本作のセンチメンタルは欠くべからざるもの。
レトロ喫茶店の空気をよく切り取った絵も秀逸だ。

それじゃぁ一冊にまとめると、単におセンチでこじんまりとしたものになるか。
そんなことはない。
単に泣ける話、気持ちよい話を並べたわけじゃない。酸いも甘いも散々味わった年齢の作者が、控えめに描く叙情は、甘さや哀しさ以外の様々な感情が含まれる。
それは、世間との折り合いで感じる居心地の悪さを無視せず、それと誠実に向き合っていこうとする時に必ず感じるなにか、にもっとも近い。

もう一冊の「口笛小曲集」は、この15年に描かれたものから、13本を抜粋している。
ここには若書きといえる作品も含まれている。しかし、それは有名な作家の初期作品がそうであるように、書きたいことが思い余って流れ出したものであり、むしろ作家の姿勢を見る上で重要な作品といえる。

だから、2冊同時刊行は必然だった。決断した編集部にも拍手を贈りたい。

それから。
驚くのは読者アンケートはがきだ。
作者自ら版下を描いた(!)それは、おそらくアンケートを強く欲しているのが作者その人だからに違いない。
しかし…あまりに魅力的だ。
もったいなくて、出せないじゃないか!(苦笑)

***

んで、ジュンク堂の地下の話に戻ると。
作者別のコーナーに、山川直人、こうの史代らの自費出版誌が委託販売されている。
ご興味のある方はこちらもどうぞ。

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