アップルの新iMac、新iPod
むしろ、ミュージックビデオに特化して、あくまでiPodの延長上にあることを貫いている点がJobsらしい、というのが率直なところだ。
その一方で、米国だけだが、人気ドラマをiTunes Music Store(以下iTMS)で配信し、iPodに転送して閲覧できるようにした。これはユーザがドラマ映像をどれくらい見るかを計るのに、適切な選択だろう。万が一うまくいかないのなら、このコンテンツの配信をフェードアウトすればいいだろうし、その場合は他の会社でもなかなかうまくいかないとも思う(もちろん、Appleがそうならないことを望んでいるのは明らかだが)。
全面的な成功を、隙のない戦略でさらに推し進めているiTMSならでは。まるでかつてのMicrosoftを見るようだ(苦笑)。
むしろ、Video PodCastingを正式にサポートしたiTunes 6.0と新iPodが生み出す文化のほうが、気になる。
たとえば、写真をゆっくり眺めるためのスライドショー動画を、BGM付きであえて作ってみせる、なんてこと。旅行記をこうやってまとめると、意外にWebページよりも喜ばれるかもしれない。
普通のPodCastingはきっちりしゃべりを入れなければならず、放送並みの台本が必要になる。またプロフェッショナルな動画配信ではあまり動かない絵というジャンルは難しい。けれど、ニッチを狙っていくVideo Podcastingなら、ヘボい絵でもウケればいいのだし、意外にイケるかもしれない。
それに、iPodで持ち歩いて見る動画なら、チラチラ見る程度でも問題ないコンテンツって、かえってありがたがられるようにも思える。
いずれにせよ、本当に隙がないなぁ、iPodに関するアップルの展開は。
でも、iTMSはまだ100%の使い勝手でないだろうし、アジアを視野に入れると完全に勝者が確定したかどうかは、もうしばらくわからないようにも感じている。
さて、気になるのは、新iMac。
それまで予告もリークもなかった、リモコンによるUI(ユーザインタフェース)、FrontRowを前面に押し出してきた。
iPodを使うように、Macの中に入っている音楽、写真、動画などを自由に扱って、楽しむことができる。
リビングルームでコンテンツを楽しむコンピュータというのは、むしろ最近のMicrosoftがWindows Media Centerで推し進めようとしてきたことだ。(そして、日本ではあまりうまくいっていないし、米国でも普及ペースが期待より遅い。)
iTMSを通じたテレビ番組配信がもしもうまくいった場合。
放送用コンテンツの閲覧数は、テレビ放送よりも、iTMSからのダウンロードのほうが多くなるかもしれない。
Windows Media Center型のPCでは、テレビとオーディオを、どうPCと融合させるかに力を注いでいる。
だが、新iMacの場合、テレビは内蔵していない(サードバーティの製品を通じて、テレビ番組をHDDに記録することは簡単にできるにしても)。
これは、iTMSを通じて、テレビとは違うコンテンツ流通・閲覧の世界を作り上げようという意思表明の、第一歩なのかもしれない。
iPodでオーディオ機器に革新を起こしたように、動画配信でも同じことをやろうとしているとするならば。
iTMSに対するテレビ業界の反応は、今の音楽業界の比ではないような気がする。
私は動画配信にすごく興味を持っているわけではないが、こういうことを考えると、iTMSの趨勢はやはり無視できないなぁ。
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コメント
こんにちは ホイヤーです。同感です。テレビ局が いままで おそおそとして すすまなかったものが ここにきて 急速に動かないと・って 危機感がでているように 思えます・・。ちと 遅すぎますけど・・どうなりますか・・。その間に すでにいろんな企業が動き始めましたね。
投稿: アンクル・ホイヤー | 2005.10.18 13:06
こんにちは。一般視聴者は、能動的に選ぶのではなく、垂れ流し放映をなんとなく眺めることに慣れているから、そこがどう変わっていくかはこれからですね。
しかし、先手を打たんとする企業が動き出すのも当然ですね。
投稿: Studio KenKen | 2005.10.18 20:35