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2006.03.24

みんな読んでる「ウェブ進化論」

やはり春分を過ぎると暖かくなるものだ。
23日の夕方はそこそこ冷えてきたとはいえ、ジャケットだけで歩くことができた。
そんな最中、3月末まで妙に立て込んでいて、しばらく更新を休むかもしれない。
とりあえず一つ記事を上げとこう。

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前回の更新「1995年から丸10年以上を経て」で1995年インターネット普及を経て生じた変化にちらりと触れたのは、いま爆発的に売れている梅田望夫「ウェブ進化論」(ちくま新書)を読んだことも少し関係しているかもしれない。

この本、時々「Web 2.0早わかり」といったポップを書店で見かけることがあるけど、それはちょっと違うだろうな。それはやっぱりインプレスの「Web 2.0 Book」じゃないか(読んでないけどさ)。
ただ、おじさんも読む新書なら「最近の若いもんのいうことはわからん」という人が「ほぅ、そういうことか」とうなずくのはアリだろう。

そう、この本はあちこちで触れられているように、普段ネット上で生活していて、コンピュータや通信などのインフラ側のことをある程度知っている人にとっては、新しいことは出ていない。それまで梅田氏が書いてきた雑誌やブログの記事を、読みやすくまとめている部分も多いのだし。
この本がおもしろい点は、インターネットが出現してから10年、社会にやっとインパクトを与えるような記事が出現し始めたことを踏まえて、本当の変化はこれからやってくるのだ、と宣言したことにある。その中でわかりやすい事例として、オープンソースやWeb 2.0という考え方、IT界の新興勢力Googleの持つ理念と力などを、普段コンピュータやネットワークに対して積極的になれない人々に訴えかけている。その語り口が面白いのだ。
ちょっとGoogleに興奮しすぎじゃないかという声もあるが(少し同意するが)、日本の代表的IT企業がYahoo! Japanや楽天、ライブドアであることを思うと、強調してインパクトをもたらそうとしているのだろうとも感じる。

著者はインターネットがもたらす今後の社会変化を予言することに力を割いていない。インターネットはリアル世界の物理的制約に縛られないため、従来の富の流通や分配とは違った方法をとり得る、そのことの本質を鋭く見抜いてトップに躍り出たGoogleに触れる。そして、Web 2.0的な新しい理念と業態を持った企業が今後きっと出てくる、その時にまた新しい変化が起き、そうやって数十年以上かけてずっと変化していく、ということを述べている。
思い起こせば産業革命(工業生産と機関車)は、経済界から労働のパターン生活までジワジワと変化させていった。それはロンドンからヨーロッパへ、北米へ、そして全世界へと波及していった。工業の発達を受け、100年以上かけて。
そのような本質的な変化をもたらすのが、インターネットとウェブである、流行りのこと、一過性のことではないのだ、と意識を向けさせるための本とも言える。

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美点は、技術の発展のアナロジーとして社会論をぶってみたりしないこと。
欠点は、すごく読みやすいので、わかった気になりやすいこと。
たとえば、著者がGoogleに強く興味を持っていることはわかるし、ネット界に関係していれば当然だ。
ただし私個人はGoogleの考え方を(実際のGoogleのサイトなどで)読んでいると「Googleが古代ローマでいう元老院をやって、みんなを幸せにしてあげるから、その他の人は黙って邪魔しないでね」と言っているようにも聞こえてしまうことがある(だからといって怒って使わない、というわけじゃない)。
「あの企業は本当にそれを任せられるのか?」という視点は、もっと強く交えられていてもいいような気がする。

もっとも梅田氏は「それなら、あなたはあのビジネスに対案を立てて、もっとおもしろいことをやれるかい? やってみてこそ、すべてだよ、それを日本人にやってほしいんだよ」と言いそうな気がする。
おそらく著者は、この本をきっかけに多くの議論が起こり、そういった文脈の中で日本人起業家が新しい世界を作るところを見たい、という気持ちも込めているんだろう。はてなに関わっていることもこの本に書かれているが、それも同じ気持ちであるはず。

***

んで、本当の進化・変化は何なのかって?
もちろん、この本には直接明記されていない。
なぜか? それは、その進化・変化を具現する理念と技術と力を持った者だけができることだから。そして、そんなことを書くくらいなら、自分でやっているはずだから。

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