エマ完結、コーヒーもう一杯2
コミックビーム5月号(4/12発売)にて、森薫「エマ」、完結。
当初はこんなマンガになるとは思ってなかった。メイドへのラヴが、19世紀の愛へと昇華していく様を体験できたのは、実に面白かった。
正直に言えば、終盤のまとめ方はちょっと急ぎすぎたような気もする。たとえばアメリカに逃れたエマをウィリアムが見つける件も、ちょっと都合がよすぎるか。だが、(言葉通りの本来の意味で)あり得ない恋愛であっても、ハッピーエンドを見たい!という作者の願いのようなものは、伝わってはきた。
最終回はその意味で、初心回帰だろうか。広げすぎた人物やエピソードをまとめるには、性急だった。だがむしろ、皆に理解を得て祝福されるわけではない二人を、ことにエマを飾っていく二人の淑女とエマ、この笑顔の流れを描きたかったんだろうな。
一人の作家が、自分の描くものを見据えて、広げ、深めていく過程を同時に体験できるのは、そうあるもんじゃない。いろいろあるが、とにかく完結は祝いたい。
ところで、地味な佳品、山川直人「コーヒーもう一杯」は単行本第2巻が出た。(第1巻刊行時の感想はこちら。)
相変わらず趣味のいい装丁。
この読み切りシリーズのいいところは、身も蓋もない話を、そのようにきちんと描くところ。
味わいは全然違うし、登場人物の年齢層も異なるけれど、その点ではいましろたかし「続ラララ劇場」と通じる部分がある。
しかも、「エマ」完結の美しい表紙を開ければ、唐沢なおき「まんが極道」新連載が巻頭カラー。
エマさんをめくると、ぱんぱんにふくらんだオタクの顔。
おそらく他誌ではなかなかお目にかかれない作品と構成。
この雑誌のわけわからんところだ(←もちろんほめてる)。
ところで、竹本泉「よみきりものの…」。
「よみきりもの」は単行本10巻目で一区切りつけて、「よみきりものの…」は別建てになったそうな。
今回の「サオリー・オペラ」はある作家の生態を扱ってる。これ、作者の初期作品の味わいが戻ってきた感じ。
個人的には好きだけど、逆に10〜20代の人たちにどう映るのかな。
志村貴子「放浪息子」、中学篇に入ってもずっとすてきなテンションで続いてる。
この作品、やっぱり「いまもっとも読みでのあるマンガ」だな。
ちなみに、朝倉世界一「女社長の日々」は初登場だそうだ。
単行本の復刻までやってたので、ちょっと驚き。
好きな作家です。このネタにこだわらないから、連載してほしいなぁ。
同じく初登場、山名沢湖「ピコレース はしごレース 綿レース」。
「スミレステッチ」の方ですな。
これ、ハマる人はひどくハマるんじゃないかな。おいらはそこまでいかなかったけれど。連載のほうがおもしろくなりそう。
しかし、ほんとにあれこれ載ってる雑誌だね。
でも昔は、どの雑誌もこんな感じで幅を広げて掲載していたものだった。
マンガの、特に雑誌の売れ行きが厳しくなってから、雑誌ごとの特徴、いや役割が明確になったような印象を受ける。会社を存続させていく意味ではもちろん重要。
ただ、ごった煮のような雑誌も大切だと思うんだよね。
分厚い雑誌として、たとえばアフタヌーンはどうも掲載作品が変わっていくような気配を感じる。ビームの幅の広さ、テンションの高さは一貫している。さてさて、どうなりますやら。
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