ゆずてん
前日までのグズグズした天気から一転、爽やかな風と青空になったのは、きっとゆずの功徳に違いなひ。
そんなことを思いつつ、ゆずてんの初日にうかがう。
ゆずてんとは。
漫画家の須藤真澄氏(公式ホームページはおさんぽ王国)が開催する個展。
期間は5月3日(水)〜7日(日)。時間は13時〜19時(最終日のみ18時)。
出版社や書店ではなく、個人としてギャラリーを借りているようだ。その様子は公式ホームページの開催概要にも表れている。
須藤マンガのファンならばご存知のように、愛猫ゆずとの日々は終わりを告げ、いまは、にい及びととの二匹がいる。
ゆずとの日々から生まれたマンガやイラストから、作者自選の原画がずらりと並ぶ。それだけじゃなく、サイン、グッズ販売、観光写真コーナー、スタンプコーナーとてんこ盛り。
個人的には、ネコのマンガ、エッセイマンガ、ファンタジーの3本立て創作活動こそが、須藤真澄のすてきなところだと思っている。今回の展示は、ネコのマンガのみであることもわかってる。けれど、ずっとゆずやどんぐり学園を読んできた者にとって、原画展示とあれば、行かないわけにはいかない。
いや、すごかったです。
なにって、人出が。
個展とはいえグッズ販売やサインも可能なので、さすがにスタッフがいたけれど、来場者がはるかに予想を上回っていたようだ。
到着した午後2時すぎ、あぁ並んでるなとは思ったけれど、まさかビルの入り口を回り込んでしまうとは思ってなかった。入り口が近づくに従って、サインのための整理券であり、単に見るだけならすぐに入ってもいいと気付くのにも時間がかかったくらい。(このあたり、開催概要ではサインを整理券制にしたことなど、情報がアップデートされている。)
混雑とスタッフの対応に不満を持っている方も出てくるかもしれないけど、手弁当でやるからには致し方ない面も出てくるので、殺気立たずに行きましょう。
会場内は人が密集して、暑い&熱い。
みんなみっちり見ている。撮影可なので撮る人もいる。会場内全員(含む自分)の頭から湯気がのぼって、原画への興奮と、作者に会える興奮と、グッズやぬいぐるみなどの企画への興奮で、熱のるつぼと化している。
グッズは開始後1時間以内に売りきれたそうな。これは最初から諦めていたから、まぁいいけど、駄玩具須藤商店として半端でなくかわいいもんが並んでいた。
私もみっちり絵を見る。枠にも、ゆずやら小鳥やらの小さなワンポイントが入っている。だけど、それがただファンシーでかわいいだけに終わらず、アイコンのようなちょっと覚めたたたずまいがあるのも、いい感じ。
それにしても、印刷というのはいかに薄まるものかがしみじみわかる。原画の線の端正な粘っこさは、きわめて濃厚。色もポストカード印刷などとは比べ物にならない。「あぁ、こんな微妙なグラデーションが」「あ、これはまるで産毛のようなふわふわな感触が」と、見ているうちにやっぱりこちらも興奮が伝染してくる。
マンガの原画は、ゆずの年齢に沿って並んでいる。ずっと読んできたものにとっては、感慨深いものがある。有名な「つー・てん」の線、ほんとに美しいです。
会場の年齢層は意外に幅広い。親子連れもいる。一人でも臆することなく入れるので、迷っている方は散歩がてら、ぜひどうぞ。
特に原画のコーナーは、ゆずとのお別れを描いた「長い長いさんぽ」から入られた方にとっても、他のゆずマンガに目を広げていく機会になりそう。(点数はカラーイラストが多いけれど。)
ところで、サインの整理券に間に合ったため、やはりいただいてきた。
あの熱い中、腕が壊れないでいてほしいと思うと、どうしたものかと一瞬頭をよぎったが、誘惑には勝てませんでした。
最終日まで、須藤氏やスタッフの皆さま、どうか倒れずにがむばってくださいませ。
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