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2006.05.12

第10回手塚治虫漫画文化賞、発表

他のネタもあるけど、緊急度ではこれが先。
5月10日、2005年に出版されたマンガを対象にした、第10回手塚治虫文化賞が発表された。
以下の通り。

・大賞:吾妻ひでお「失踪日記」
・新生賞:ひぐちアサ「おおきく振りかぶって」
・短編賞:伊藤理佐「女いっぴき猫ふたり」「おいピータン!!」「女の窓」など
・特別賞:小野耕世(長年の海外コミックの日本への紹介と評論活動に対して)

大賞は、2位以下を大きく引き離しての受賞となったそうだ。
昨年12月、手塚治虫漫画賞もとっちゃうかも、なんて書いていたら、ほんとにとっちまった。
しかし、それだけの作品である。なにしろ、手塚治虫の線画を踏まえた絵で、SFと美少女と不条理と批評精神をまき散らしていく貴重な作風に、さらに新たな面が加わっているのだ。Webにはないが、朝日本紙に掲載された作者のことば。

「ナンセンスギャグは、常に新しいアイデアで作っていかなければならないので、個人の力では限界がある。自分としては、それを乗り越えて復活したというより、別の道に行ったと思っています」(朝日新聞、5/10朝刊より)

重い言葉である。

当ブログで散々触れてきた「おおきく振りかぶって」(通称「おお振り」、月刊アフタヌーン連載)。連載はこれからが正念場になるけど、祝!

***

さて、新聞には1次選考で7位までの作品も出ている。(各選考委員の配点も出ているが省略。)

1)「失踪日記」吾妻ひでお
2)「のだめカンタービレ」二ノ宮知子
3)「NANA」矢沢あい
4)「働きマン」安野モヨコ
5)「ヒストリエ」岩明均
6)「もやしもん」石川雅之
7)「イヴの眠り」吉田秋生
7)「王様の仕立て屋〜サルト/フィニート〜」大河原遁
7)「団地ともお」小田扉
7)「リアル」井上雄彦
7)「リトル・フォレスト」五十嵐大介

うーん…講談社、強し(「のだめ」「働きマン」「ヒストリエ」「もやしもん」「リトル・フォレスト」)。
このラインナップだと、「NANA」は今の若い女性を彫り込んでいて、「のだめ」より強いと思っていた。ハチ(主人公の一人のニックネーム)を見ているとイライラするという声が、特におじさんおばさん世代(つまりおいらと同世代)から漏れ聞こえることもあるけど、たぶんあんな風な思いつきや行動って、若い女性の本音をかなりすくいとってるんじゃないかな。それは評価に値する(実際そういう声もあったが、他の選考委員を説得できなかったと新聞に出ていた)。
まぁあれだけ売れている(映画にもアニメにもなっている)から、もうじゅうぶん評価されているともいえるけどね。

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