げんしけん、連載完結(アフタヌーン7月号)
アフタヌーンの7月号(5/25発売)で、ついに木尾士目「げんしんけん」が連載完結。
それまで地味でねっとりした恋愛ものを描いてきた作者が、方針一転するように取り上げたぬるいオタの日常。あれよあれよという間に大ヒットに。
世間で秋葉原の変化に注目が集まり出し、アキバ系なる言葉が歩き出し、その後に電車男がヒットするという時に、とてもあっていた。ノってる時って、こういうものなのかもしれないね。
この人気作も、笹原の卒業とともに終了。なんだかえらく短かったように感じるが、もう4年も経ってるんだねぇ。
笹原と荻上の恋愛に関する動きなどは、正直に言うといまいちだった時期もあるが、最終回のオチでヨシとしたい。連載当初のネタに帰るというのは基本だし、誠実に書いていたことは伝わってきたし。
個人的にこの作品に関する最大の印象は、マンガ喫茶でむさぼるように読む女性を、何度も見かけたこと。電車男のブームがくる数年前である。
ちなみに今から興味を持って読もうという方へ。電車男と違って、脱オタ化による恋愛モードというのは、この作品の場合、あり得ません。かといって、とってもイヤ気な感じで進行する、なんてこともないです。
つーか、気になるなら迷わず読んどけ。
他のアキバ系(?)では田丸浩史「ラブやん」が珍しい展開をしている。
いわゆるマンガ評などに載ることの滅多にないものだが、これを続けるのは相当の腕力がいると思うよ(つまらん回もあるけど)。それは評価されてもいいと思うが。
ちなみに、田中ユキ「神社のすすめ」、2ヶ月で急展開。次号で最終回。
連載開始はまずまずで立ち上がった。もっとマンガっぽくない展開をしてもよかったように思うんだが、それにしてもいきなりこう来て、終わりですかい?
同時期に連載が始まった「アキバ署」はまだ続くようだが、おいらとしてはこっちのほうを終(以下略)。
「ヨコハマ買い出し紀行」、「神戸在住」、「すずめ すずなり」と終了作品が続いた。何しろ作品数の多い雑誌だけに、まだ終わらないものも一杯あるけど、方針を変えようとしているんだろうな、これは。
「蟲師」、「もっけ」といった妖し系、御大あさりよしとおの「るくるく」といったものを含めて、サブカル系まっしぐらのものを残すのか。他にはSF的世界(「EDEN」、「セラミック・フェザー」)や大河ロマン級のもの(「ヒストリエ」、「ヴィンランド・サガ」、あえて入れれば「終戦のローレライ」、「巌窟王」もか)。ラブコメはマンガ的なものに絞り、文学とマンガの間をさまようようなものとはちょっと距離をとる。
そんな印象を受けるのだが、どうなんだろー。でも「おおきく振りかぶって」は好調でそのままいくしね。
それはともかく、「俺と悪魔のブルース」は、打ち切りっぽい終わらせ方はしないでほしい。
ところで、四季賞の掲載作を別冊にまとめるようになって、2回目。
デビュー作が単行本化される機会が少なく、雑誌は捨てられることが多いことを考慮して、保存しやすくしたのだろうか。(もしもそうならば、これで一度保存可能な掲載となったので、がんばって本誌連載に突入すれば単行本を出そう、ということなのかもしれない。)
「四季賞クロニクル」を発行した後なので、それを継ぐための企画でもあるのかな。
本誌が日常に密着したネタを排除しつつあるように勘ぐってしまうが、今回掲載された大賞作品、兼子義行「メトロポリタン・ミュージアム」は、存在が消えるという設定を除くと、情緒の動きを丹念に追う方向性。四季賞の前邑恭之介「CURE」は入院もので、リアルな中での心の動きを描こうとしている。
選者がうえやまとち(「クッキング・パパ」でモーニング創刊時から連載を継続)というところもあるだろうが、この選択を見る限り、編集部は別に化け物やSF、歴史大河ばかりを求めているわけではないらしい、と思っていいんだろうか。
マンガとしておもしろければとにかく来い、という姿勢はなくならないでほしい。
ごった煮が魅力の雑誌ってのがあってもいいと思うんだ。
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