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2006.09.10

阿部謹也氏の訃報

歴史学者で元一橋大学学長、阿部謹也氏の訃報を知った。
(たとえば、アサヒ・コムの9/9の記事。)

私ももちろん有名な「ハメルーンの笛吹き男」から入った。
出版当時は(歴史書をあまり読まなかったこともあって)知らなかった。高校に入ってからだ。
網野善彦氏の名前を知ったのも同じ頃だ。
こうした仕事を知ったことは、たとえば古楽をより深く感じることに役立った。
また、中世を暗黒時代のようにとらえる教科書的な史学を捉え直し、同時に日本の江戸時代の再評価が起きるきっかけを見ることも出来た(杉浦日向子氏の業績はその後だ)。
受験勉強にさえ、テーマ史、同時代史で幅を膨らませて覚えやすくする視点を得たため、役立ったと言える。

(一方、氏の晩年の仕事である一般書の「世間論」は、私は共鳴しかねる部分が多かった。話を広げすぎているんじゃなかろうか。やはり氏の仕事は、専門の歴史学に関わるものが面白い。)

今の世は、1960〜1980年代に勃興した、様々な価値観の相対化が学問から生活文化全般に広がり、メインストリームがわからなくなったような印象さえある。
1990年代後半から、小説にしろ映画にしろマンガにしろアニメにしろ音楽にしろ、王道(?)が歓迎されるようにもなっている。
ただ、価値観の異なるものを理解しようという姿勢は、簡単にかなぐり捨ててしまっていいものではない。
むしろ、ツーカーでわからない事物/相手の背後に何があるかを想像し、考えることは、本来楽しいことであるし、他者との本当の出会いとはそういうことを通じてしか起き得ない。
昭和の最後を飾った碩学の逝去される昨今、当然のように積み上げられた学説に新たな視点を提示された氏の著作を改めて開くことは、単に感慨にふけるだけにとどまらないはずだ。

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阿部先生、ご冥福をお祈り申し上げます。。 ▼元一橋大学長の阿部謹也氏が死去  西 [続きを読む]

受信: 2006.09.11 10:41

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