« iPodと音風景−−前編 | トップページ | チューリング賞、最適化研究のアレン氏 »

2007.02.21

iPodと音風景−−後編

[この記事は前編からお読みください。]

結局、iPodを外で使うのは、座っていられる時か、じっと立っている時が中心になってきた。
つまり、耳元の音に、ある程度気持ちを集中させても問題ない状況で、何か聴きたいなと感じた時。

特に、地下鉄の騒音がうるさくてかなわん時、カナルイヤホンで騒音を遮断しつつ、音楽も聴けるのがうれしい。
カナルイヤホンは、発音部の先端にやわらかいイヤーチップをつける。
それを外耳道(カナル)に、耳栓のように突っ込んで使う。元々は補聴器、ステージ用イヤーモニターとして発達してきたため、極めてクリアに聞こえる製品が多い。
列車の走行音をかなりカットするので、小さな音量で満足できることも利点(逆に大音量は耳をいためる)。

耳栓が嫌いな人は、外界の音に対して逆位相の波形を発生させて打ち消す、ノイズキャンセリング・ヘッドフォンを使う手もある。(私個人は、逆位相の波形から圧迫感を受けるので、このタイプは使用していない。)
ノイズキャンセリング・ヘッドフォンは、屋内でPCのファンや空調機器が出すノイズをカットするために使われることも多い。

ノイズキャンセリング・ヘッドフォン/イヤホンが売れていること、またカナル型の高級イヤホンに注目が集まるということは、多くの人が騒音を消しながら音楽を聴きたいと思っている、ということ。

***

それで思い出すのは、歩きながら使っていた頃のこと。
音楽がまったく聴こえなくなるのは当たり前だった。

店の発する呼び込みの音(家電量販店、薬屋など、小売店舗の多く)が、完全にiPodの音を消してしまうほど大きい。繁華街だけではない、私鉄の駅前商店街などでも似たようなことは起きる。
しかも、新宿などではビルに取り付けられた大画面とスピーカーから、光と音が放射されている。

他にも、地下鉄の走行音(ことに都営大江戸線)、飛行機、大型ダンプなど、さらにオフィスや家庭の空調機器など、私たちは意外なくらい周期的な震動音に囲まれて暮らしている。
しかも、地下鉄の車内アナウンスはびっくりするくらい音量が大きいことがある。繁華街のカフェでも、BGMの音量が大きいことはよくあり、店内の話し声もつられて大きくなる。

都市に住むということは、耳に対して過酷な環境にいる、ということらしい。
普段は気にしていない。鈍感になっている。
音楽を意識的に聴く機会を増やしてみると、気になってくる。

***

そして、思うこと。
(1)電車、車、飛行機、家電製品などの静音化を、技術で解決していくこと。
(2)頭の中で記憶から取り出した音が鳴り響いている時のように、外界からの音や気配を感知しつつも、クリアに音楽が聴こえれば理想的であること。

(1)は当然としても、(2)は物理的に極めて妙な要求だ。この世の音とは別世界の音を、同時に感じさせてくれ、と言っているわけで、二律背反を実現してくれ、に等しい。
でも、周囲をきちんと察知しつつ、同時に音楽に楽しめるなら、それが一番うれしいに決まってる。

現在のところ、耳を塞がない骨伝導ヘッドフォンなどでも、うまくいくようには見えない。
かといって、脳を直接操作されるのはイヤだ。
この問題は、せめて外部の音と、鳴らしたい音楽とを各自で制御できるような製品が発達するのを望むしかないのだろうか。
(ちなみに、マイクやカートリッジで有名なSHUREは、カナルイヤホンのE500で、このような機構を実装したが、取り回しがよくないこと、音質が低下することから、あまりいい評判を聞かない。発展前の段階、ということか。)

***

さて、最大の問題。
(3)繁華街でゴンゴン鳴り響くスピーカーからの音。

これが日本の都会での、音風景である。
音は逃げられないからこそ広告になるのだが、今の世の中はあんまりじゃないかな。
商業地域であの程度の音は、許可されている。
それでも思う。
あんなにうるさくする必要があるんだろうか。法律条例云々以前に、多くの人がともに暮らすからこそ、もうちょっと音量を下げてもいいんじゃないのかな、と。

田舎に引っ込む気はない(いまのところは)。
今の段階では、歩いている最中は我慢して、座れる場所では耳栓かカナルイヤホンで音を制御するくらいしか手がない。
どこからどう手をつけるのが有効なのかね。

というか、iPodで音楽を聴くことから、ずいぶんと離れたところまで来ちまったもんだ。

エピローグもどうぞ。]

|

« iPodと音風景−−前編 | トップページ | チューリング賞、最適化研究のアレン氏 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/16751/14000303

この記事へのトラックバック一覧です: iPodと音風景−−後編:

» 魅せる耳かけ形リオネット補聴器売:中国 [補聴器最新情報]
リオンは昨年10月に補聴器合計600万台販売を達成したが、それを記念して、補聴器が必要だがつけているの他人から気づかれるのを嫌がる潜在需要者(必要な人のうちつけていない割合は約70%)を対象に、抵抗なくつけてもらいやすい魅せる耳かけ形リオネット補聴器の「リオネットロコ」を発売した。価額は12.8万円。近年ユーザー側で、つけているのを隠す気持ちが徐々に薄れてきた、また耳穴形補聴器と比べて安いためか、出荷台数が2001年のの14万4000台を底に徐々に上向き昨年は17万台となった...... [続きを読む]

受信: 2007.03.03 15:16

» ノイズキャンセリングヘッドフォン主力7機種レビュー [ヘッドホン☆イヤホン情報]
ノイズキャンセリングヘッドホンのレビューサイト見つけました。http://review.japan.zdnet.com/feature/0702_headphone/↑↑↑↑ここでレビューされているのは・BOSE、QuietComfort3・ソニー、ヘッドフォン「MDR-NC22」・オーディオテクニカ「ATH-ANC7」 ...... [続きを読む]

受信: 2007.03.18 23:58

« iPodと音風景−−前編 | トップページ | チューリング賞、最適化研究のアレン氏 »