東京堂書店
この店を常用するきっかけは、紀田順一郎氏、坪内祐三氏らの推薦などとはまったく関係ない。そのずっと前から通っている。
おそらく父の影響が発端だ。祖父が三省堂を愛用していたが、父は東京堂の見やすい規模と配置を私に推奨した(確か小学校5年頃だったと思う)。
ただ、中学以降は書泉グランデでも買い物をするようになった私が、その後も愛用し続けたのは、周囲の大型店で品切れの本が、しばしばここで入手できたからだ。
小さくない店だが、超大型というほどでもない。三省堂や書泉グランデよりも客の密度が低い。
その分、売れ残りを捕獲できる可能性が高い、というのはある。
でも、それだけではない。
たとえば三省堂は、平積みの重点商品はとてもよく配置してあるけど、書架に詰められた本は意外にきちんと整理されていないことが時々ある。
(何度も引き合いに出して三省堂には申し訳ないが、書架の配置を見ていると、時間がないのでとりあえずここに突っ込んでおいた状態のままなんじゃないか、と思えることがたまにある。規模が大きい店の売り場管理は大変だとは思うが、ぜひ頑張っていただきたい。)
東京堂は、他の大規模店と比べると床面積が小さい。何でも取り揃えられるわけではないし、コンパクトな書架にギュッと詰め込んでいる印象もある。ただし、見やすく棚を構成する努力が感じられる。本の内容に沿ってきちんと置かれている場合が多い。何より平積みと書架に置かれた本の扱いに落差が少なく、すぅっと目に入ってくる。
つまり、担当者の気遣いが、1階の人文書・文芸書の平積みから始まって、3階まで一貫している。分類もわかりやすい。
そんな店だから、担当者達が必要な本を集める努力を怠っていないのだろうと思っている。
それにしても2〜3階は空いている。だいじょうぶか、と心配になるくらい。(改装工事後、エスカレーターがなくなったことは、少し影響しているかもしれないが。)
三省堂、ジュンク堂のように、大規模な売り場に冗長なくらい本を並べて、どう探しても見つかりやすくする、というタイプの店ではない。
だけど、コンパクトな棚構成で、おもしろいハードカバーの本をきちんと取り上げている。
こういう本屋は、つぶれちゃ困ります。
神保町に足を運ぶことがあって、あまり入ったことがないなら、ちょっと立ち寄って眺めてみてほしい。
本、ことに人文や文学に興味があれば、何か響くものがあるんじゃないかな(自然科学系も、膨大な品揃えではないが、コンパクトなりにうまく配置してある)。
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