マンガ市場は小説化しているのか
マンガ雑誌が以前ほど売れなくなっていることは、だいぶ前から言われてきた。
理由はいくつもあるんだろう。
ひょいと思い付くだけでも。
たくさんある雑誌の中から、定期購読し続けるのがメンドー。
次回を心待ちにするような作品が減ったような気がする。(雑誌が多すぎて掲載作が分散している?)
マンガ雑誌を読み続ける世代の年齢が上がってきて、新しい定期購読者は減る傾向なのか。
時間がなくなってきたし、雑誌を全部読むよりも、評判の単行本を買うことでじゅうぶん。
などなど。
雑誌への連載から単行本にするシステムは、小説にもある。純文学でもエンターテイメントでも同様。
ただ、戦前から戦後にかけてある程度読まれていた月刊文芸誌は、いまや読んでいる人のほうが珍しい、というのが現状。
文芸誌を買うより、単行本を書店や書評、口コミなどで見つけて読む人のほうが圧倒的に多い。
ただし、文芸誌は赤字でもシステムとして残っている(というか元々黒字になることが珍しかったとも聞く)。相変わらず連載があって、単行本になる。単行本によって稼ぐシステム、ということなんだろう。
一方、小説には書き下ろし、というシステムもある。連載を経ず、いきなり単行本を出すこのシステムは、売れることが見込まれる作家が中心になりやすいが、無名の新人がこれで世に飛び出すこともある。
漫画雑誌は最近、メジャー誌でもなかなか黒字にならず、単行本のヒットで稼ぐという。
(月刊「創」5月号の特集「マンガはどこへゆく」に情報あり。また、コミックビーム連載「銭」にもマンガのエピソードがあった。)
つまり、小説と同じような構造になりつつある、ということか。
ただし、現在のマンガ出版において、ほとんどとらないシステムがある。
書き下ろしだ。
松本大洋ら一部の作家に適用されたことはあるが、非常に珍しい。
リスクは大きいが、連載よりこちらが向く作家だっているはず、小説のように。
新聞もマンガ評を扱う時代だ。もうそろそろ検討されていい方法なのかもしれない。
というより、今後マンガ雑誌が縮小傾向に向かうなら、視野に入れざるを得ないと思うが、どーなんだろう。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント