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2007.05.10

DreamWeaver CS3発表に思う

連休があけた5月8日、AdobeはCreative Suites 3(CS3)ファミリーを発表した。

・Adobeのプレスリリース(5/8)

・インプレスのInternet Watchの記事(5/8)

AdobeとMacromediaの合併以降、初めてのCreative Suitesメジャーアップグレードである。両者がこれまで開発してきた有名なソフトウェアのラインナップが一斉にアップグレードされ、製品ラインも整理された。
Mac版、Windows版ともに、6月下旬から提供開始となる。特にMac版は、IntelMacにも正式対応する初めてのバージョンであり、待っていたユーザは多いと思う。

個人的な注目は、Webコンテンツ制作者向けのソフト。
Webページ記述とWebサイト管理を行うソフトとして、AdobeはGoLive、MacromediaはDreamWeaverを提供してきた。今回のCS3では、DreamWeaverに統合された。GoLiveは、CS3とは別の位置づけになるようだ。まったく同じ機能を有するし、プロやセミプロはDreamWeaverユーザが圧倒的に多いから、当然かもしれない。

それにしても、このラインナップ、現状は直接的な競争相手がいない。あえて言えば、MicrosoftとAppleくらいだろう。

***

DreamWeaverは当初、2万円しないソフトだった。似たようなソフトが乱立する中で、WYSIWYGでデザインができ、生成するHTMLコードが競合製品よりも良い。サイト全体を管理する機能もまっとうに動く。さらに、直接入力したHTMLコードを勝手に変更しない。多くの機能がバランスよく配置されていたため、プロも一般ユーザも支持した。
ただし、一般ユーザ向けはDreamWeaver 4が最後となり、DreamWeaver MX以降はプロ向けにシフトした(値段も上がった)。
このため、たとえばWindowsマシンならば、ホームページビルダーなどに移行した人も少なくないようだ。こうしたソフトは皆、安価で一般ユーザ向けには十分な機能を持つ上、より上級者向けの機能も利用できる。

ここで問題となるのは、Macユーザ。選択肢が少ないのだ。
iWebというソフトがある。Mac購入時のバンドルソフト、iLife(マルチメディアデータの作成・観賞用ソフト群)の一つ。これが一般向けWebコンテンツ制作ソフトの代表格。
このソフトは自由にページを作成する機能よりも、テンプレートの活用に重きをおく。多数用意されている美しいテンプレートから、好みに一番近いものを選ぶ。そこに文や写真などの内容を流し込んで、Web上に公開する。この方式自体は悪くはないが、自由なレイアウトを好むなら馴染みにくい人もいるだろう。
また、Appleの提供するオンラインサービス、.Macの利用者に最適化されている。.Macに入る気がなければ、強い動機付けがなくなる。

そういう人々は、他のソフトを使うことになる。
たとえば、RealMac Software社開発/アクト・ツー販売のRapidWeaver、Karelia Software社のSandVoxなど。また、Flashをベースにして美麗なページを作ることができる、ID for WebLifeもある(デジタルステージ社による、日本発のソフト)。

RapidWeaverとSandVoxは、iWebを高機能にしたようなソフト。ID for WebLifeはFlashベースであるため、通常のHTMLによるページとはだいぶ違ったものになる。
(Freeway 4というソフトもあるが、使ったことがまったくないので、コメントできない。)

普通にHTMLを編集するソフトは、高いDreamWeaverを買うか、オンライン提供のシェアウェア/フリーウェアを活用するか、HTMLを直接コーディングするかを選ぶことになる。

***

HTMLの書法は少しでもわかっていたほうがいいのは確かだし、そのためには直接コーディングしてもいいとは思う。
ただし、個人的にはHTMLはツールを活用してコーディングしたほうがいいとも思っている。

Webページを記述する言語としてHTMLが普及したのは、習得が(この手の言語の中では)ラクだからだ。多少いい加減に書いても、内容は表示される。期待通りに表示するためのノウハウを学べばいい。また、いわゆるプログラミング言語などに比べれば、言語仕様もゆるく、細かいところにうるさくない。
つまり、学習の敷居はそう高くない。

逆に言えば、多少いい加減でも、あまり推奨されない書法であっても、流通してしまう。実際、1990年代のWebサイトのHTML記述は、タグが閉じていないなど、好ましくないものも少なくなかった。
この反省から、XMLを活用してより整った形式であるXHTMLが制定され、データそのものの構造をXHTMLで示し、表示方法はCSS(スタイルシート)で記述することが推奨されるようになった。また、仕様のサブセットとスーパーセットの関係も考えられるようになったため、モバイル向けとPC向けをCSSで切り分けることも可能になる。

ただし、「より正しい仕様や書法」を期待するならば、ツールを活用して「より正しい記述が全自動もしくは半自動で行われる」方向を目指すべきだ。
人間は間違いやすいし、込み入った修正をする内に、後で直そうと思っていたことを忘れたりする。また、XHTMLとCSSを活用してデータ構造と表示を本気で分けるのは、案外面倒だ。やはり、ツールの助けでより正確、かつ望ましい記述に持っていったほうがいい。
この際、いくつか方法がある。

  • PCやMac、つまりクライアント上のソフトで解決する。ページの内容をクライアント上のソフトで入力していく。
    • WYSIWYGエディタ、サイト管理/ftp機能などが可能な、プロ向けのWebサイト構築総合ソフトを使う(DreamWeaverなど)。
    • 一般ユーザ向けの、Webサイト構築ソフトを使う(iWeb、RapidWeaverなど)。
    • マクロを使える高機能テキストエディタを用いて、HTML/CSSタグの色表示、タグをメニューから入力する機能、ファイル名やリンクの一括変更などを実現する(MacならJEdit、emacsなどを活用する)。
    • WYSIWYGエディタは含まず、HTML入力を補助するテキストエディタと、サイト管理機能/ftp機能を統合した、軽量級のツールを活用する。
  • Webサーバ側のソフトで解決する。データを作成し、サーバ側のソフトでHTML記述を自動生成する。
    • ブログ(Blog, Weblog)はその最たるもの。
    • XOOPSなどのコンテンツ管理システムを用意しているサーバを利用する手もある。

Macでクライアント向けソフトがあまり活発に見えないのは、ブログが普及した上、発売後普及しなければ開発費を回収しにくい点もあるだろう。
ただし、ブログは記事を更新するたびにトップページの顔が変わっていく。日記にはよいが、内容を蓄積していくタイプのページにはあまり向かない。

やはりMac版の、一般向けのWebページ記述ソフトがもう数点ほしい。ホームページビルダーのような、多くのユーザが(善し悪しは別にしても)標準的と認識できるようなソフトが。
Think different.なアップルは別にしても、サードパーティまで似たような操作にこだわるのはどうかと思う。サードバーティこそ、空白を埋められるはずなのだが、AdobeやAppleに競合する会社は、すぐには見当たらない…
(デジタルステージ社のID for WebLife自体は評価するが、Flashベースであること、また自由なレイアウトをしにくい点はやや困る。)

AdobeはGoLiveをどうするつもりだろう。かつてのPageMillをブラッシュアップしたような、一般向けのツールを作るつもりはないのだろうか。
それでは今以上にAdobeの独占市場になってしまうのが気掛かりではあるが。

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