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2007.07.08

東京国際ブックフェア2007

今年も東京国際ブックフェア@ビッグサイトを見てきた。
例年、東ホールで行われてきたが、今年は西ホール。まぁ言ってみれば、縮小傾向ということか。
さらに、平日はどうしても都合が合わず、土曜に足を運んだ。同時開催の文具フェアなどは金曜で終了。ちょっとちんまりとした印象。

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入ってみると、ベビーカーに夫婦、という来場者が想像以上に多くて驚いた。考えてみれば児童書フェアをやってるし、例年通り農文協の手仕事体験コーナーなどもあるから、親子で楽しめる催しなのかもしれない。歩きにくいけど、まぁ将来の読者なのだから仕方ないとも思う楽しんでくれよと思う(苦笑)。
むしろ気になったのは、2〜3名で来場する人々。だらだら歩き、通路の真ん中で立ち止まったり、たむろったり。夢中でおしゃべりしながら歩いていて、ブースをほとんど見ない人たちもいたり。

全体にブースが小さめになったためか、本棚の前にちょっと人がいると、もう他の人たちは見ることが難しい。その割に、通路は人がいっぱいというわけではない。イベントのあり方自体、そろそろ曲がり角なのだろうか。(まぁ、元々が出版関係者のためのイベントであるので、今までのように「本を安く買える場」とするだけでは発展はないだろうしね。)
ただ、国書刊行会、各大学の出版局、勁草書房、未来社、みすず書房などの人文学関連書フェアは(20%オフがきいたのか)立ち止まって本を選ぶ人が意外に多い。大修館も同様の混雑。三省堂神田本店の静けさを思うと、関心ある人がまだこれだけいることに、少しほっとする。

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デジタルパブリッシング関連は、携帯電話の電子書籍でコミックや小説を、という流れがほぼ確定してきたためか、そちらの展示が目立つ。オーサリングツールもボイジャーやシャープ、アドビでほぼ確定している。新味にはやや乏しい。
ただ、ボイジャーが相変わらずオンデマンド出版に力を入れていたのは好印象。
また、電子書籍の販売管理方法に関して提案する企業が増えたようだ。

元気がよかったのは、Google ブック検索を発表したばかりのGoogle。
全文検索が可能なブック検索で表示されるのは、全体の20%程度であり、立ち読みのようなものであることを強調する。最後に検索した本を買うための最寄りの書店を、Google Mapとの連携で見つけ出すデモまでやる。
読者と版元と書店のすべての益をもたらすのですよ、と言わんばかり。手際のよいプレゼンに、デモではあった。

疑問点は、検索アルゴリズムのせいなのか、キーワードで表示される書籍の並びが非常にランダムに感じられること。係の方に尋ねてみた。
すると、検索アルゴリズムはWebサイトのものと似ているが、書籍向けに最適化されていること、まだ登録書籍点数が少ないからであり、今後点数が増えてくれば、Webサイトのようにもっと見つけやすい並びに出来ると思う、とのこと。
確かにまだ始まったばかりであり、評価は今後の推移にもよると思う。
ただ、伸びている会社は、対応が適切で速い、という経験則はここでも当てはまった。

こうなると、ブック検索と、元々電子化されている電子書籍との連携をどうとらえるか、また、コミックなどの検索をどう行うか、ということになるのかもしれない。

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一時期盛り返したように見えた書籍市場は、ハリー・ポッター熱がやや引いてからはやや静かになっている。
そういう状況下で、西ホールの開催であった。来年はどうなるか。
というより、書籍販売へのリーチを、ネットなどで広げることができるかどうか。結構考えさせられるイベントでもあった。

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