2007年半ば、今のアフタヌーン
そういえば長いこと月刊マンガ誌「アフタヌーン」に触れていなかった。
昨年、読みどころが増えてきた旨を書いたが、今年に入ってから躍進中(ページ数も増えてるんで、重くてたまらんけどね)。
極私的お気に入りからいくつか。
幸村誠「ヴィンランド・サガ」。
アシェラッド兵団の行軍篇は、マガジン連載の頃の熱さを抑えていたようだが、ついに爆発。やはり、ここに来るためだったのね。兆候は見えていたが、王子を巡る動きが激しくなった7月号(5月発売)以降は息を呑む。本領発揮。
ついでに、パロディーマンガで悪名高い(?)西本秀雄が「元祖ユルヴァちゃん」を書いている。一つの雑誌で、ネタ元とパロディ。アフタヌーンらしいというべきか。
それに、都留泰作「ナチュン」。
天才数学者が事故で脳機能を損傷、以後はイルカの研究に打ち込むも、理解されない。そのビデオを米国留学中に見た主人公は、ビデオからヒントを得て、人工知能を開発できると確信する。人工知能による世界征服を念頭に、イルカの研究をするために帰国。金をかき集めて日本中の海辺を回り、沖縄にたどり着く。なかなかイルカにたどりつけない青年は、妙なオヤジの元で漁の手伝いをしつつ、時々イルカの群れを見る機会をつかむ。だが、イルカの群れには、溶け込んでいる無口な少女がいた。島特有の祭りやしきたり、島の人々の少女の扱いを見つつ、青年は少しずつ研究を進めるしかない。祭りの間、島を出ることになった青年は、移動先の少し大きい島で、あやしい仕事に巻き込まれ…
話の柄が大きく、読み応えじゅうぶん。単行本は第2巻まで出ている。
絵が嫌いな人は受け付けないかもしれないけど、最近は(いくらか)見やすくなってきた。食わず嫌いせず、読んでほしいマンガです。
歴史大河ロマンとして既に名高い岩本均「ヒストリエ」。
隔月連載で、今発売の9月号(7月25日発売)は掲載号。ちなみに、同じ頃に単行本の第4巻が発売されている。
連載当初の緊張を絶やさず、掲載されると誌面の重みが変わってしまうのは、相変わらず。「寄生獣」の頃から、伏線が非常に息長く紡がれることで有名だったが、もはや名人芸の域か。
単行本は、昨年は1冊も出なかったため、連載に追いついていなかった。ただし、アリストテレスを追うスキタイ、の話にはつながってきている。
連載では、軍に囲まれている生まれ育った都市に戻り、昔の仲間や、かつての「兄」に会うところまで進んでいる。冒頭と、昔語りをほぼ片づけ、いよいよ話は前進していく…まさにライフワークだな。
ちなみに、ひぐちアサ「おおきく振りかぶって」、関東は深夜枠でアニメーションを放映中。少しだけ見たが、かなり原作に忠実に作っているようだ。「蟲師」同様に高い評価が出るか(個人的にはモモカンの声がいまいちだし、時間もないので、最近は見ていない)。
もちろん、連載も好調、地区大会も3回戦になると、相手に読まれて苦戦する、といった運びになっている。
一方、かとりまさる・作、安藤慈朗・画「しおんの王」も、この秋にアニメ放映されるという。
ここんとこ、王道展開がなかなか心地よい作品。将棋界における女性の立ち位置が描かれているところも含めて、さすが、かとりまさる=林葉直子。
この春に始まった中島かずき・作、浜名海・画「大江戸ロケット」は、テレビアニメも同時期から放映中(こちらはアニメを見ていない)。
それにしても、アニメは題材によほど困っているのかな。半年で60本とか80本も作られるなら、当然か。
(そういえばイブニング連載の「もやしもん」もこの秋にアニメ化。)
「蟲師」、「もっけ」、「謎の彼女X」、「俺と悪魔のブルース」など連載陣も安定してなかなか読ませるが、他の話題を。
8月号(6月25日発売)には芦奈野ひとし「カブのイサキ」が載った。ただし、読み切り。うーん、おもしろいけど、本格始動の前の肩慣らし、って雰囲気かな。
同じ号から、「リンガフランカ」でお笑いと深層心理を描いた滝沢麻耶が改名して、鹿島麻耶「学園夢探偵 獏」を短期集中連載。来月発売の10月号で完結予定とのこと。まずまずだけど、3話でどこまで行くつもりなんだろう。
「臨死!江古田ちゃん」やら「プ〜ねこ」やら「ハトのおよめさん」などもあれば、「終戦のローレライ」漫画化も、「宙のまにまに」、「くじびき♡アンバランス」のような萌えるものもあり。
水準以上のラインナップが揃っている。確かに、なんでもあり、を目指していると伝わるようになってきた。重いけど、1ヶ月楽しめる雑誌に戻ってきているのは、素直にうれしい。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント