« 秋葉原、いや街の知恵とは | トップページ | iPhone 3G、価格発表 »

2008.06.12

iPhone 3G

6/10(日本時間、現地では6/9)、Apple, Inc.(以後アップル)が、主催するWWDC (World Wide Developers Conference)の基調講演で、iPhone 3Gを発表した。
やっと第3世代携帯電話の通信方式を採用し、日本での発売も7/11、ソフトバンクより、と決定した。

既に多くのテレビ、新聞、Webニュースから、個人のブログでも取り上げられている。
特に「日本では受け入れられるのか、iPodのように再び席巻するのか、日本の携帯電話はしてやられてしまうのか」に関心が集まっているようだ。

ただ、この設問の立て方は、おそらく間違っている。
なぜか。
アップルは既存の携帯電話とは異なるタイプのデバイスを提供しているつもりだろうし、結果的に他社のシェアを奪うことになるとしても、むしろ機器のあり方を変えることにこそ主眼があるはずだから。

***

目標とする最初の普及台数が、2008年末までに全世界で1000万台。現在までに600万台を出荷、今後70カ国でiPhone 3Gを販売するから、何とか達成可能な数字に見えるし、それなりの台数ではある。
しかし、これは全世界の携帯電話の1%であり、ノキアなどの巨人に比べればとても小さい(後発メーカーだから仕方ないとしても、だ)。
アップルは非常に大きなシェアをいきなりはとれないことを、最初から自覚しているようにも見える。

さらに指摘するなら、今ごろになって3Gの通信規格に対応したことを特徴に挙げるなんて、いったい何年前の話だ、とも言える。3Gの普及に関しては、費用が膨らむから世界的にはゆっくり進むだけであって、多くのキャリア/オペレータはより速く、より安く普及させる方向を模索し続けている。

おそらくアップルが目指すのは、十分に普及するか、もしくは普及が見込まれる技術を組み合わせて、よりパーソナルなデバイスを提供することだろう。従来の携帯電話があくまで組込み機器として発展してきた性質や使い勝手をリセットし、アップル流のパーソナルデバイスにすることを目指しているはずだ。
中身は小さな、しかししっかりしたパーソナルコンピュータであり、手に馴染む大きさのタッチパネルを搭載して、より親密な操作感を追求する。音楽や映像を含めたメディア再生機能、また多くのメディアデータを整理するためのユーザインタフェースを軸にして、通話機能もその中に捉え直す。
だから、無線通信機能についても、後追いでいいから、安定して使える規格を採用しているのではないか(米国では3Gが普及していない地域もまだ多い)。

さらに、キャリア/オペレータが主導して製品開発や通信サービス企画を行うのでなく、無線を有線インターネットのようにデータを流す土管とだけ見なして、あとは皆で自由に扱えるような文化を築きたい、という意思があるのではないか。
iTunes Storeだけでなく、App Storeでアプリケーションを流通させることも、PC/Mac流の文化を無線通信の世界に持ち込んで、より自由な製品とサービスの開発を、ということだろう。
そう思えば、一見製品ラインがダブっているように見えるiPod touchは、iPhoneへの援護射撃とも見なせる。

***

iPhoneは「iPod機能付き携帯電話」ではなく、「真の意味でパーソナルなコンピュータであり、通信を自由に行えるし、通話も出来るデバイス」を目指している。
そうでなければ昨年の今ごろ、最初のiPhoneが出た時に「電話を再定義する」などと言い出すわけがない。
当初はAT&Tと利益を分け合う形で契約したのも、キャリア/オペレータには通信網を提供してもらい、あとはメーカーでより自由に作る体勢を築きたかったからだろう。少し高価だが、それに見合う価値を見出してもらえることも期待していたはずだ。

しかし、やはり高いと思ったほどには売れない。かといって、利益を捨てるわけにもいかない。
そこで、販売奨励金精度を活用して、キャリア/オペレータに費用を肩代わりしてもらう形で、より普及してもらう方向に転換した。まずは普及、次の一手はその後で、ということだろう。
そのためにも、まずはOSをiPhone 2.0として地盤を固めることが大切。
そんな思惑が透けて見えるのが、今回の基調講演の内容だ。

最初のiPhone 3Gがものすごく売れるかどうかよりも、世代を進めるに連れて多くの人々が手にするようになり、ある時期にiPod miniやiPod nanoにあたるような普及機で勝負に出る、という絵を描いているのかもしれないが、そのあたりはなんとも言えない。
ただ、アメリカでは非常に多くの企業が注目しており、エンタープライズ向け機能が多数追加されたことは、注目に値する。Macintoshと違って、法人需要が広がる可能性があるから。

まぁしかし、とにかく日本でも発売されるiPhone 3Gがどんな出来なのか、まずは実物を見ていたいところだ。
(とはいえ、まだ価格も料金プランも発表されていないから、それを見ないことには買うかどうかも決めにくいわけだが。)

|

« 秋葉原、いや街の知恵とは | トップページ | iPhone 3G、価格発表 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/16751/41515659

この記事へのトラックバック一覧です: iPhone 3G:

« 秋葉原、いや街の知恵とは | トップページ | iPhone 3G、価格発表 »