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2008.08.19

iPhoneとBlackBerry

7月のiPhone熱狂が終わってみると、販売の勢いは失速しつつある、という記事が出ていた。
J-CASTの記事は、BCNランキングの結果を引き、発売当初の家電量販店シェアは13%あったのに、8月に入って4.4%に落ちたこと、またその原因をインタビューで紹介している。

ソフトバンクはパケット定額が2段階にした上で、供給安定を理由に予約受付を開始しているが、これはMNP(番号ポータビリティ制度)を利用して他キャリアから移ってくる人々が、安心して買えるようにするためだろう。
MNPで転出届を出したら、発行日を含めて15日以内に移行しなければ、その届けは無効になる。いつ買えるかわからないようでは、新規契約者はともかく、転入は獲得しにくいからだ。
では、これによってiPhoneは再びグングン売れるか?

iPhoneに触れる、携帯電話にあまり詳しくない多くの人は「現状の携帯電話の便利さはまったく失わず、目新しさもほしい」と思うだろう。
そういう人々の中には、触ってみて「な〜んか違う…思ったほど便利じゃない…」と感じるケースも少なくないはず。
また、実際に使い始めた人から「バッテリーは思ったほど持たない」と耳にしたりする。これは多くの携帯電話ユーザにとって、致命的だろう。
だから、最初の熱狂が冷めると、静かになるのも、当たり前。
(かくいう私も、何度となく手にとっているのに、いまだに購入していない…)

iPhoneが一番ピタリと来そうな人とはおそらく、ケータイ向けサイトよりも、PCなど一般のインターネットサイトを見ることが多く、メールもケータイ専用じゃないほうがいい、というケース。そういう人は、PCやMacをすでに所有しているから、元々問題もない。
そして、そういう層にはある程度行き渡りつつあり、今後は買い損ねた人々が少しずつ買ってゆく状況になるだろう。(自分もそういうケースにあたるのだが、携帯電話でもそれなりのことができるようになってはいるんだよねぇ。)
逆に、日本の主婦によくある「PCを使うのは主にダンナ、あたしはケータイだけで十分」といったケースでは、必ずしもピタリと来ない。

ただ、UIの面白さは独特なので、それを活かして次々に手を打ってきた場合、じわじわ売れ続ける可能性も残っている。
AppStoreに出ているアプリケーションも、洗練されていくにはまだ時間が必要だと思う。
まだ発売されてやっと1ヶ月、本当の評価は1年後か、iPod miniにあたる普及機が出てくる時期になるんじゃないか。(もっとも、日本人からすれば「もっと完成度を上げてから出してくれ」というのが本音かもしれない。)

***

むしろ、北米では相変わらずBlackBerryが売れ続け、iPhone 3Gは注目されつつも販売の勢いはない、ということのほうが、問題なのかもしれない。

BlackBerryについては7月の記事で、ドコモが販売する端末(8707h)の第一印象を上げた。

ただし、BlackBerryの真の強みとは、企業内のメールサーバーと協調動作するシステムも提供し、セキュリティ、利便性、安定性などをバランスよく提供できる点にある(端末を管理者サーバーから一括管理できる機能などもある)。
個人向けには、ドコモのようなキャリアが、このサーバーシステムを個人ユーザに提供するわけだ。
この総合的なシステムの強みによって、北米では他の会社を寄せ付けない強さを発揮し続けている。(ただし、日本でも同じかといえば、それは違う。)

初代iPhoneが出た時、IBMやOracleなどエンタープライズ向けソリューションを提供する超大手が積極的にコミットしたのは、RIM社がサーバから端末まで全部握るシステムに対して、iPhoneを軸に自分たちのソリューションを売り込める可能性に気付いたからだろう。
iPhone 3Gはそうした意見を大きく取り入れてきたが、RIM社の提供するBlackBerryは微動だにしない様子。
それだけの自信もあるのだろう、そろそろ発売される新端末Boldは、iPhoneを強く意識した仕様であり、それまで便利に使ってきた人は簡単に乗り換えないと思われる。

***

この構図、どこかで見たことがないだろうか。
実は、ドコモのiモードが持つ強みと、そっくりなのだ。
端末からサーバに至る総合的なシステム、つまり垂直統合モデルで勝負をしている点で、非常によく似ている。
もちろん、ドコモはメールを独自の小さな仕様に圧縮し、ドコモの網内で閉じているのに対して、BlackBerryは企業やISPのメールボックスをそのまま確認できる点がまったく違う。さらに、ドコモではアプリケーションがJavaベースのiアプリである点も異なる。しかし、両者の強みに共通点があるのも事実だ。
そのドコモが、iPhoneよりもBlackBerryを先に販売するのは、むしろ道理にかなった選択のように思える(担当されている方はまた違う考えかもしれないが)。

ただし、iPhoneは携帯電話の世界で、メーカが主導権を握り、PC的な自由さを少し持ち込もうとしている。
少し、とあえて書いたのは、AppleはiPhoneのエコシステムをコントロールしたいと強く願っているように見えるから。MobileMeやAppStore、iTunesを見るにつけ、Appleは携帯電話会社を文字通り土管扱いして、自分たちの会社だけで垂直統合モデルを築こうとしているようだ。
つまり、AppleはAppleなりに、BlackBerryやVodafone、ドコモなどのビジネスを検討した上で、雰囲気は自由に、しかし実質はApple管理下のエコシステムによるパラダイスを目指しているように見える。
それは、Microsoftがやろうとして、必ずしも果たせていない夢でもあるだろう(いや、むしろMicrosoftのほうがずっとオープンに見える)。

iPhoneの本当の評価は、短期的なシェアの推移ではなく、こうした独自のエコシステム拡張に動き出すかどうか、その起爆剤が出てくるかどうか、にかかっている。
最初の起爆剤であるはずのMobileMeは、Apple側の不備による大苦戦、というのが第1ラウンド。このために、本来売れるはずのiPhoneやMacが売れなくなる、という悪循環を避けたいのがAppleの本音のはず(だから30日間無料をユーザに提供した上で、60日間無料を追加提供を発表もした)。
この先、どうなるか。やはりもう少し長い目で追っていく必要があるだろう。

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