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2008.09.12

スマートフォン、補足

映画「スカイ・クロラ」の感想も書きたいが、その前に。
先日のスマートフォンのエントリーを、少し補足。

日経ITProに、2008年第2四半期(4〜6月)のスマートフォン市場に関する記事(9/10)が掲載された。
(日経BPのTech-On!の記事(9/9)もあり。)

簡単にまとめると。
Nokiaは相変わらず首位だが、成長率は鈍化し、シェアを落としている。
勢いがあるのは、RIM社のBlackBerry。また、台湾のHTCが、Windows Mobile機で伸びていることも読み取れる。
iPhoneに関しては、3Gの発表前で買い控えがあり、下半期は伸びる、とTech-On!が触れている。

***

Nokiaはおそらくこの推移を昨年から感じ取っていたはず。時を同じくしてiPhoneおよびAndroid(Google、搭載機はまだない)が登場したが、数年前から準備してきたものだ。Windows Mobileの伸びも同様。

こうした動きを見越していたのかどうか、今年の6月24日、NokiaはSymbian OSを開発しているSymbian社を買収した。同時に非営利団体であるSymbian Foundationを設立して、オープンソース化を発表。
この団体には、電機メーカー、半導体メーカー、ソフトウェア開発会社、さらにキャリア/オペレーター(いわゆる携帯電話会社のこと)などが参加している。
Symbian OSを一番多く出荷しているのはNokiaだ。買収した上で、オープンにして共闘関係を持てる会社を募る作戦に出た。iPhoneもあるが、むしろAndroidのような動きへの反応にもみえる(既に多数の出荷ベースがあるプラットフォームをオープンにして、必要な仕様の追加により速く対応したい、ということだろう)。
ヨーロッパやアジアでは、多機能携帯電話やスマートフォンで高い評価を得てきたOSだが、まだ伸びる余地はあるだけに、簡単にやられるつもりはないだろう。

PDA向けOSというワンランク上の貴族的な出自ながら、携帯電話上で野良仕事も出来るたくましさも強化してきたSymbian OS。
今、勢いのあるBlackBerryは、メッセンジャー(フルキーボードを備えたメッセージ送受信端末)から身を起こした。
サーバーと連携する強固なソリューションを提供することで、特に法人から信頼を得ることに成功している。単に野良仕事出身というのではなく、端末とサーバーを含めたソリューション提供の強みを活かして、ここまできた。

***

Symbian OSとWindows Mobileは、技術的な構造は異なっていても、高機能を目指す点では競合している。
そこに割って入り、あっという間に話題をかっさらっていったiPhoneは、貴族的というより、いきなり降りてきた違う民族に近いのかもしれない。

一方、搭載製品がなく、まだβ版であるGoogleのAndroidは、近い内に正式版が出る可能性が高くなってきた(APIが確定しつつある)。
GoogleはWebブラウザchromeのβ版を提供し始めた。まだWindows版のみだが、Mac OS X版およびLinux版も出すという。MacおよびiPhoneで動作するSafariと同じレンダリングエンジンを積む点といい、どうもやることがiPhoneと似ている。
iPhoneに先を行かせつつ、Windowsユーザーからの拒絶が少ない地の利を活かして、おいしいところを持っていこうとしているのだろうか。
Androidは組込み機器向けLinuxをベースにしており、オープンソースを好むエンジニアの興味を惹きつけている。AppleはiPhoneのAppStoreを前面に出しているが、腕に覚えのあるエンジニアは別にすると、なじみの薄いObjective-Cを使いたがる人たちがどれくらいいるのか。プログラマーの数ではAndroidのほうが大きくなる可能性は高い。
もっとも、出荷された端末に魅力がなければ、あまりソフトウェアが開発されない状態になる可能性も残されているのだが。

***

日本で一番問題なのは、シャープの伸び率が落ちたり、富士通も大きなプレゼンスを持っていないこと。
というより、スマートフォン的な機能を、出来るだけこれまでの携帯電話に注ぎ込むことに注力している。(おそらくキャリアの企画の方向もあるだろう。)
それが悪いわけではないけれど、そろそろケータイ独自から、本格的なインターネット端末への変貌も見てみたい。
このあたり、若年層〜中堅層はとりあえずノートPC(+無線LAN)中心、携帯電話は通話中心、という使い方も結構見かける。これもスマートフォン的製品が伸びていかない一因ではないかな。

iPhoneのように感触を重視する製品は、SONYをはじめとする日本企業は本来、得意分野だったはず。
小さくてキビキビ動き、ケータイ的な制約のより小さな製品がもっと日本から出れば、むしろリードできそうに思えるのだが。

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