« 時空をフラットにする時代に | トップページ | スマートフォン、補足 »

2008.09.07

スマートフォンは世界全体をみないと

先週末の記事だが、iPhoneを含むスマートフォン市場についてのもの。

スマートフォン戦線異常あり iPhone失速、ドコモ攻勢」(9/5、フジサンケイビジネスi.の記事を、ITmedia経由で)

騒いだほどiPhoneが売れてないこと、ドコモがBlackBerryで法人市場だけでなく、SOHOや個人にも普及を狙うこと、またソフトバンク、ドコモなどにスマートフォンを提供しているHTC(台湾)のことなどが触れられている。
(小さな紙面に掲載する記事だから、少ない文字数に情報を盛り込むと、こんな感じになるとは思う。)

私もiPhoneとBlackBerryについて書いたけど、それは両者の故郷である北米市場における動きを意識した上で、なぜiPhoneがBlackBerryを追い越せないのか、を考察したかったから。
日本では、ケータイを業務に導入する方向でこれまで動いてきたため、一気にスマートフォンに動くかどうか、まだ見えてこない。
高機能な日本のケータイを使いつつ、サーバ上のソフトウェアを改良し、ケータイ上の小さなブラウザやアプリ(iアプリ、BREW、S!アプリ)と通信する選択肢だって、消えたわけではないから。
北米ベースの外資系がBlackBerryを導入しているのは当然としても、ドコモが扱うことでスマートフォンがぐっと普及するかは、まだわからない。(もちろん、上の記事でも、NetBookのような小型PCが売れているので、スマートフォンかPCかはわからない、ともある。)

***

ただ、日本と世界市場の比較を意識してスマートフォンをとらえるなら、Nokiaに言及する必要もあるだろう。(歴史的にはPalmのTreoにも触れるべきだろうが、大きな市場を形成していないので、今は省く。)

Nokiaは1990年代後半から"Communicator"というシリーズを発売してきた。QWERTYフルキーボードを持ち、PDAと携帯電話が合体した製品だ。2007年からはE90 Communicatorが現役製品として出ている。ただし、Nokia自身は当初、これらをスマートフォンと呼んでいなかった。電話というより、PDA的な側面が強いからだろう。
Nokia自身がスマートフォンと呼んだ製品は、2002年に出たNokia 7650が最初だ。これはCommunicatorよりずっと電話寄りであり、その後のスマートフォンの基準になった製品だ。日本では、Vodafone時代の702 NK(Nokia 6630)が最初のスマートフォンで、2005年のこと。意外に古いのである。
Nokiaは携帯電話、スマートフォン、Communicatorの多くにSymbian OSを採用している。Symbian OSの出自はPDA向けOSであり、携帯電話向けに再設計している。特に、ユーザインタフェースの層を選択可能にしており、小さな携帯電話からPC一歩手前の製品まで、幅広いスケーラビリティを持つ。

2007年に発売されたNokia E61はヨーロッパやアジアを中心に多くのユーザが使っている。
日本語版もSIMロックフリー端末として発売されている。携帯電話会社で契約してSIMカードを作り、自分で携帯電話に挿入して使うが、既存のFOMAなどのSIMを抜いて使うこともできる。ドコモやソフトバンクの公式メニューは使えないが、インターネットプロバイダや会社のメールアドレスを直接読みにいける−−−このあたり、iPhoneやBlackBerryと同じと思われるかもしれないが、Nokiaのほうが早かった。
新機種Nokia E71は、海外ではもう販売されているので、日本語版もじきに登場するだろう。

***

日本にいると、Windows Mobile(HTCなど)かiPhoneがあって、北米ではBlackBerryが有名らしい、という話になるのだが、世界的にみればNokiaも含めないと。
Nokiaに次いで、SamsungやHTCがWindows Mobileを採用して、また違う発想でスマートフォンを作っている、という現状がある。どちらかといえば、合衆国とカナダは特殊、という見方だってできる。

PC向けOSの帝王であるMicosoftが開発したWindows Mobileも、なかなか崩せないNokiaの牙城。一方で、北米はBlackBerryがスマートフォン/高機能携帯電話の代名詞になっている。
その意識に、iPhoneが風穴をあけた。このためかどうか、Windows Mobileも採用端末が増え始めたことで、少しずつシェアを伸ばし始めた。さらに世界展開を始めたiPhoneも各地で話題になっている(シェアは必ずしもすごい状態になってはいないようだけれど)。
Appleは、他の誰も出来なかった市場の揺り動かしを仕掛けて、とりあえず第一ステップを築いた。話題になっている主な理由は、そこにあるのだと思う。
ただし、NokiaおよびBlackBerry築いていた市場やサービス体制は、当然しっかりしている。そこにどう入り込めるかが次のステップであり、ここはなかなか簡単にいかないはずだ。
とはいえ、Appleは何かやらかす傾向がある。本当の勝負はもう少し先を見てみないとわからない。

なんでこんなことを書くのかと言えば、日本のメーカーだって、今ならつけ入る隙があるはずだから。
日本発のスマートフォンがすてきな使い心地で輸出され始め、世界中に新しい選択肢を提供できるなら、それはすばらしいことだと思う。

|

« 時空をフラットにする時代に | トップページ | スマートフォン、補足 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/16751/42412717

この記事へのトラックバック一覧です: スマートフォンは世界全体をみないと:

« 時空をフラットにする時代に | トップページ | スマートフォン、補足 »