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2008.10.05

CEATEC Japan 2008 雑記

CEATEC Japanは通信、音響や映像などの家電、それらを通じての各種サービス、各種電子部品、カー・エレクトロニクスなど、家電や通信、電子工業に関する日本最大の展示会+コンファレンスとして続いている。幕張メッセは(東京ビッグサイトや有楽町フォーラムより)遠いけど、データショーをここに統合したのは正解だったのかもね。
ちなみに、ゲーム関連は東京ゲームショーで別途展示されるが、今年からはそれとコンテンツ関連(映画、アニメなど)も含め、10月を日本の基幹産業展示会のように位置づけている。

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CEATECはソフトウェア関連の展示が多いわけではないが(どちらかといえばハードウェアが多い)、部品や組込みOS・ミドルウェアなどの方向性は当然、様々なサービスの今後に関わってくるから、ソフトウェアに関わる人々も大勢訪れる。(私も毎年見に行く。)

数年前から昨年にかけて、Blu-Ray、RFID、ロボット産業、センサー(WiiやiPhoneなどが発表される前から何年も展示されてきた)、薄型テレビといったものはむしろ静かになっている(もちろんAV機器の高性能化は進行中)。
むしろ、インターネットがほんとうにどこでもつながるようになる時代に向けて、新しいサービス像が静かに進行している。

携帯電話などの小型機器は、モーションセンサやGPS以外に、3軸地磁気センサーを備え、現在位置だけでなく、向いている方向も含めた検出が可能になること。
それを前提に、3D化した地図や空間表現を取り入れ、向きを変えると地図の方向も変わるような、より直感的で扱いやすい表示が進んでいくこと。(地図はあらゆるサービスにおいてキラーコンテンツになっている。)
こうした複雑な処理のためにも、PC、家電に関わらずプロセッサがマルチ・コア化していくこと、またそれに応じた並列プログラミング用の開発環境だけでなく、仮想化まで視野に入ってくること。(ちなみに、組込みにおけるマルチ・コア開発環境に関する講演は有意義だった。)

さらに、サーバ側がクラウド・コンピューティングという言葉に代表される強大な分散処理をベースに、自然言語処理の実用化に本気で取り組んでいく前提が、徐々に整いつつあること。

そういう意味では、NICT(独立行政法人 情報通信研究機構)の展示は、規模も大きくなかなかおもしろかった。
特に自然言語処理に関しては、概念辞書、機械翻訳の精度を上げるためのコーパス、Web情報信頼性分析システムWISDOMなど、インターネットや大規模分散処理があるからこそ可能になり、また意義深い展示が見られた。
ちなみに、音声・言語技術の共有を目的としたフォーラム(MASTARプロジェクト)を立ち上げるという。これまでの基礎的な研究が、やっと応用とつながる道筋も含めて、いろいろな形で広がる糸口が見つかりつつあるのだろう。1980年代からソフトウェアの世界を見てきた者には「やっとここまで来たか」とも思う。

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もちろん携帯電話キャリア各社の展示も興味深かったが、ソフトバンクモバイルによるSaaSの講演で、iPhoneを前面に押し出したことも印象深かった。
これまでの携帯電話とは違い、PCと大差ないインターネット環境を前提にモバイル環境でSaaSを扱うことができるため、今後はそちらにシフトしていくであろうこと、さらにsekai cameraのような新しいサービスが出てくることも含めて、従来の携帯電話とは違う世界が展開することを強調していた。

ただし、日本では従来の携帯電話が貪欲にスマートフォン的な機能を取り込むことに力を注いできた。従来は「ケータイ」として閉じた世界での便利さを追求しつつ、小さなブラウザでサービスを提供してきた、ということ。
しかし、いよいよPCと変わらない性能を備えるようになり(CookiesもAjaxも扱える)、Webサービスを介してPCと完全に同期できる世界が見えてきた今、どういうサービスを提供していくか、ということでもある。
(ただし、携帯電話のように電波という有限の資源で通信をする場合は、データの流量が大きくなってくると、インフラ側の整備が莫大な資金を要する上に、運用も一筋縄でいかなくなってくる。ここをどう解決していくかも考えなければならない世界ではある。)

そういえば、東芝から独立した駅前探検倶楽部の活動は、日本のインターネットの初期から存在して、いまだに機能しているサービスだ。
携帯電話普及前からインターネットで会員制のサービスとしてスタートし、やがて携帯電話の公式コンテンツとして有料化、しかもPCは無料で開放した。iアプリのような携帯電話上のアプリケーション実行環境が載ると、高機能なアプリを提供してより便利に使えるように工夫し、iPhoneのAppStoreにもすぐに対応する(最初は無料だったが、バージョンアップで2年間使える有料アプリとなった)。
どんな機器がやってきても、コンテンツのあり方を考えて、発展的に対応を続けてきた。電車の乗り換え、駅周辺情報の提供、地図との連動、GPSによる現在位置の把握と、キラーコンテンツとしての機能を徐々に広げながら、NaviTimeなど急成長したライバルとも渡り合っている。
ただし、最近はGoogleのサービスとかなり被ってきている。PCと小型機器の垣根がなくなっていく時代、これまでの静的なWebとは違うサービスをどう作っていくか、またキャリア側がそのような仕掛けを作っていく方向なのか。
このあたり、キャリアがすべてを握ってきた印象の強い携帯電話通信の世界がどう変わるか、そこが一番のみものなのだと思う。日本のソフトウェアの潜在力は、先に触れたsekai cameraならずとも、意外にあるものだ。むしろこれからおもしろい時代になっていくのだと思っている。

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ちなみに、ヤマハのTENORI-ONという新しい楽器に、触れることが出来た。
店頭で扱っておらず、Web経由の販売のみなので、今回が初めて。

設定したテンポの中で、時間軸上に様々な音を置いていく。
それを複数のレイヤーで重ねていける。
これにより、自分の好きなリズムやハーモニーのパターンを作っていく。
特定のレイヤーをエディットすることで、少しずつグルーヴが変化していく。
ソロモードにすると、リアルタイムで演奏することもできる。

た、たのし〜〜!!

しかも、複数台をケーブルで接続して、同期をとれる。
つまり、ドラムパート、ベースパート、ハーモニーのパート、アンビエント担当、ソリストといった具合に、アンサンブルできる。しかも、それぞれが役割をどんどん交代しながら、次々に新しいグルーヴを生み出すことも出来るだろう。

今回の個人的な大ヒットは、実はこれでした。

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