ニケ指揮、ル・コンセール・スピリテュエルの東京公演(2)
[前回の続き]
ところで前回、「水上の音楽」第1組曲の冒頭で、思わず微笑みが浮かんでしまう、と書いた。
より正確に言えば、胸の内の真の感情は泣き笑いだった。楽想と緊密に結びついた演奏のあまりの見事さ、それゆえに生じるはかなさに、うれしくも物悲しくなり、微笑みながらも涙をこぼさんばかりだった。
彼らによるCDを数えきれないくらい聴いてきたのに、こんな気持ちになったことはなかった。いや、演奏会に通っていて、10年に一度あるかないか。
そうして鼻水をこらえながら掌を口元に寄せ、耳を澄ませるうちに、微笑みが支配的になった、というのがほんとうのところ。
今回の演奏会を「事件」だと、ファースト・インプレッションで書いた。
その意味は、規模の大きさや祝祭性だけにあるのではない。この滅多に経験できないなにものかにこそ、あったのだと思っている。
いや、話を急ぎ過ぎてはいけない。
響きの華であった金管楽器や打楽器にも触れておこう。
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