大声の「ありがとう」
9月最後の一週間ほど、ちょっとクサクサするというか、苦いというか、要するにあんまり気分よくない日がしばしばあった。(CEATECを見に行かねばならないし、片づけなければならないこともいろいろあったし。)
そんな9月末、急いで新宿の地下を突っ切って行こうとするも、団子状に固まった人たちが流れをせき止めている。
あ〜ぁ、と思い、こんなことで怒りに巻き込まれてはもったいない、と思った時。
「おぉぉい!」
かわいらしい声が響いた。目が勝手に声の主を探した。
ベビーカーに乗せられた子が、地下街に出てきたところだった。目がくりんとしたかわいい男の子、3歳くらいか。母親がたしなめる暇もなく、声を発したのだろう、何か子供に言って聞かせている。
が、おかまいなしに、行き交う人たちへ、満面の笑みで両手を振っている。
思わず手を振り返した。
微笑んだ瞬間、自分の頬がすごく強張っていることに気付いた。
ふと気付くと、誰も彼を見ていない。
改めて微笑み直して、手を振った途端。
「ありがとう〜ね〜!」
再び大きな声。
なんてことだ。あんな小さい子供にお礼を言われるなんて!
単に人の反応がおもしろくてやっただけなのかもしれない。だけど、憮然とした顔で地下を歩いていた自分は、顔を強張らせないでね、もっと微笑んでね、と教えられたようなものだ。
手を振り、「ありがとう」と言いながら、こちらも歩き出した。母親がこちらに一礼してから帽子をかぶせた。人さし指を立てて話しかけている。子供を諭しているのだろう、もちろん母は穏やかな顔で、子供も微笑んだまま。
改めて、ありがとう。君のおかげでとても大事なことを思い出せた。
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コメント
いいはなしだなー
投稿: | 2008.10.20 01:51
どなたかは存じませぬが、心に響いたのならなによりです。
投稿: Studio KenKen | 2008.10.20 12:43