雨の中、文学をたどって歩く
いきなり冬の気温になった。しかも曇り時々雨。
そんな中、第7回文学フリマに知人が出店しているので、行ってみる。
ほんとは秋葉原に見に行くものがあって、そのついでというのはナイショ(書いてるじゃん)。
第1〜2回が(倒産前の)青山ブックセンター本店カルチャーサロン。
第3回から今回までが、東京都中小企業振興公社 秋葉原庁舎 第1・第2展示室。
次回(来年5月)は、蒲田の大田区産業プラザPiOになる、とのこと。
つまり、最後の秋葉原の文学フリマ。
例によって午後2時半をまわってから到着。
いつもならまだ受け取れるはずのサークルガイドが、配布終了していた。
1階で、知人のブースの冊子を購入。
2階は「東浩紀のゼロアカ道場・第四回関門」と、知り合い同士のたまり場状態で、すごいことになっていた。
圧力の高い催し物が、このイベント全体としてプラスに働いているかは微妙かもしれない(しかし悪いとも思わない、後述)。
大塚英志氏の純文学不良債権論、笙野頼子氏の反論、それに対する大塚氏の「文学もコミックマーケットのような場を持てばいい」に端を発した文学フリマ。
第1回を企画したのは大塚氏だが、第2回からはその手を離れ、文章系マーケットとしては大きなイベントに発展した。
ただ、笙野氏の「文学にそんな心配(不良債権としてどうするか)はしていただなくて結構!」は(予想通り)正しかったのだな、という思いがある一方。
こういう場はむしろ、論壇的な場として向いているのかもしれない、とも思った。
実際、書評やサブカル評論は目立つ。
これは「アキバ」という場だったからではないだろう。みんなが読んでいるものが、ミステリーやラノベ、マンガやアニメ(それは視聴だ)になっている世の中だ。創作冊子より、評論やインタビューなどのほうがぱっと見て、内容をイメージしやすいだろうし、手にする人も多い。
ゼロアカ道場はうるさかったけど、そういう背景を考えれば、文章系のマーケットにおけるイベントとしては、むしろまっとうなのかもしれない。(地味に冊子を売りたい人は、迷惑してたみたいだけど。)
蒲田に移れば箱は大きくなり、こういうイベントは仕掛けやすくなるかもしれないとも思うから、前哨戦としてはいいのかも。
アキバで目的を果たしてから、雨のそぼ降る中、神保町へ移動。
東京堂書店に来ると、なんだかほっとする。
買い損ねていた水村美苗氏の評論「日本語が亡びる時 英語の世紀の中で」(筑摩書房)を、やっと購入。
今年8月、雑誌「新潮」9月号に掲載されたのは、前半の3章(既に触れた)。
その翌月から、翻訳家の鴻巣友季子氏は、文學界で連載中のエッセイ「カーヴの隅の本棚」にて3ヶ月連続で触れた(第31〜33回)。特に今月の第33回では、全文を読んだ上で「来月、水村氏にインタビューをする」と締めくくっている。
まだ最初の方を読み直している段階だが、これは読書する人間にとって、必読となる予感。
読み終えてから改めて触れたい。
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