賢者の風格
12月の2〜4日、Sun Tech Days 2008に参加してきた。
昨年に続き、James Goslingが来日して基調講演を行った他、Java、Solaris、MySQLまた参加各社のセミナーなどが行われた。最終日はUniversity Dayと称して、Sun Microsystemsという会社が世界にどうコミットしているかを、主に大学生に向けて示す日に当てられた。
世界的な景気減速の中で開かれた会だった。こじんまりとしていたが、なかなかおもしろい講演、技術・製品の紹介もたくさんあった。
個人的には、OpenSolarisが想像よりずっとおもしろい方向に進んでいることが興味深かった。ノートPCやMacへのインストールを指向していること、Sun Virtual Box(無料)による仮想化で、複数OSの併用が実用的になっていること。
ただ、Javaに関しては、昨年よりさらに、エンタープライズや組込みといった分野ごとへの分断が進んでいるためか、組込み分野はSun SPOT以外であまり人が集まらない、ということも目立った。
開発者がJavaで食えるようになり、分野ごとの習慣が決まってきたので、あえてこういう場に出る必要がなくなってきている、ということなのだろう。
でも、せっかくコンピューター・サイエンスが得た勝利なのだから、たまには人々が集まって語らうのも悪くないはず。
2001年、横浜でJavaOneが開かれた時、組込み分野とエンタープライズ分野の人々が一同に会し、時には異分野間で質疑が行われていたことに心動かされた。あぁいうことがたまにはあった方がいい。実装における最適化と、理想のギャップがどれくらいあるかを確認する機会なのだから。
Java FXのデスクトップ向け正式版が12/4にリリースされたが、Javaに関わる人々の意識を再び向け直すことに貢献するや否や。
そういえば、James Goslingの講演はいつも興味深いが、今回University DayでQ&Aに登壇した時は特に印象的だった。
世の中のどこに問題があるかを考えて、どのように解決できるかを考えることが重要、と繰り返す彼の言葉は、すごくおもしろい話し方ではないのだが、いつの間にか引き込まれてしまう。ゆったりと聞き取りやすい英語で、シンプルなのに深みがあって、賢者の風格がある。
あぁ、こういう賢者が生み出した技術の集積がJavaなんだ、と思う。(一方で、Solaris関係者は猛烈な早口であり、ある意味、典型的なIT関係者。)
どうでもいいことかもしれないが、意外に重要なことでもあると思うのだ、この理想の高さは。
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