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2009.04.14

地デジ化の次こそがおもしろいかも

むむ、もう4月も真ん中にさしかかっている。
東京では4月3日まではウールの上着やコートを羽織るくらいだった。4日から急に暖かくなる。それからは温度上昇が続き、ここ数日は初夏並み。
さすがにのぼせすぎたのか、雨が降って高温は一段落。
このような気候に生まれてくる子供らは、1980年代までの気温がゆっくり変動する日々を、まったく知らないで育つわけか。四季に対する概念が少し変わるのか、春夏秋冬そのものは残っているから、そこまではいかないのか。

***

テレビ界隈は地デジ時代秒読み開始とばかりに、アナログ放送に「アナログ」の表示をかぶせ、CMも流して「さぁ移行の準備しましょう」と促している。
携帯電話やパーソナルコンピューターの場合、世代によっては生活必需品と受け止められていないケースもあるし、それでもどうにかなる。テレビやラジオ、新聞が情報ツールになるし、最悪の場合でも携帯電話さえあればメールくらいは出来るから。(本当はそういう方々にとって、パソコンはとても便利なツールになるのだが、それはさておき。)

そのテレビがデジタル化する。パソコンを避けてきた人でも、テレビは避けられないと思うだろう、生活の主要な情報源になる場合があるから。(私ならテレビを切り捨てても惜しくないかもしれないが、それはさておき。)

そこで、テレビを買い換える。

すると、今まで遣っていたVHSビデオ機では気持ちよく録画できなくなる。何せ、今までビデオ機に内蔵していたチューナーはもう使えないのだから。

そこで、録画機としてDVD/HDDレコーダーか、Blu-Ray/HDDレコーダーを選択することになる。(まぁたいていは周囲や店員の説得で、セットで買うのでしょうが。)

すると、いままで使ってきたGコード予約は使えなくなる。
これはまぁ、大画面テレビを活用した番組表が提示されるので、今までより便利と感じる向きもあるかもしれない。アナログテレビより起動に時間がかかるデジタルテレビ/レコーダーを使って録画予約する感覚は「よっこらしょっ」と重い感じを伴うかもしれないが、使うこと自体はどうにかなるだろう。

一方、記録はHDDに行われるケースがほとんどだ。ビデオテープを巻き戻して頭から上書き録画する、という形態ではなくなる。これまで録画した内容を画面に表示させ、「これこれを消去」と操作して空き領域を作ってから、録画する形になる。最初にここで戸惑う人もいるだろう。

それこそ、パソコンのようなGUIが、映像(と音楽)の記録と再生に特化した形で提供されることになる。(というより、パソコンは汎用コンピューターであり、それを動画鑑賞に特化したような構成が各種レコーダーなのだが。)
趣味や仕事でパソコンに慣れ親しんできた方ならともかく、そうでない方々はここで初めて、デジタル機器の概念や作法、デジタルデータの扱い方に触れることになる。
慣れの問題だからどうにかなるだろうけれど、アナログ放送とVHSアナログテープの知識の延長だけではわかりにくい場合もあるかもしれない。

***

では、エンジニアはわかりにくいものを開発して、悦に入っているのだろうか。

それは違う。かつて、エンジニアの側にいた者として知る限り、製品を作る人々は皆、便利にかつ幸せになってもらいたくて、技術と使い勝手を向上させようとしている。まじめにそう思って努力している。

ただし、様々な技術の複合体であるデジタル家電製品では、ハードウェアのスイッチやつまみだけでなく、ソフトウェアという目に直接は見えない仕組みを介しており、画面とリモコンによる間接操作が多くなる。
こういう複雑な構造物は、比較的きっちりと論理的な構造を踏まえて開発せざるを得ない(というか、技術開発とはそういうものです)。そのためか、操作はある程度の手順を踏まえる傾向が出てくる(この画面を呼び出して、このボタンを押すと、次にこの画面が出てくるので云々)。
これが利用者には面倒、難しい、という雰囲気を醸し出してしまうのだろう。

一方で利用者は、自分が特に必要としていることだけを、ボタンをポンと押す要領で操作したがるし、それ以外のことに関心は向かないものだ。
なのに、操作が複雑になってくると、製品の中身というか、ソフトウェアの構造が漏れ出てきて、理屈っぽくなる。
時々耳にする「理系の人って、なんで言葉や行動がフローチャートみたいなの?」というヤツに近いかもしれない。(理系/文系という分け方が、人の分類に適切かどうかは疑問だが、それはさておき。)

このギャップが、難しいという印象を、強めている。

***

パソコンが普及したことで、学校や業務で使っていれば、最低限のマナーや、デジタルデータの取り扱いに関する常識は知られるようになった。
そのため、ここ10年ほどで、コンピューターを活用した製品への敷居は、以前よりも格段に下がった。つまり、ギャップはいくらかでも埋まってきている。
製品がこなれてきたこともあるが、世間でコンピューターベースのツールを使う機会が増え、皆が慣れてきたことも大きい。

逆に言えば、そのようなデジタル慣れを無視して開発することは、意外に難しい状況になってきているのかもしれない。

一方で地デジ時代とは、デジタル慣れした人々が購買中心層だった状況から、本当にあらゆる人々を購買対象にしなければならない、ということでもある。
もちろん何年も前からわかっていたことだから、皆が一斉に知恵を絞ってはきた。
それでも、エンジニアや企画する側が、デジタル慣れしていない(それでも不満を感じてこなかった)人々に対して、どのような製品で接していけばいいかを初めて知ることになった、とも言えるのではないか。

ここ数年のレコーダーで、パナソニックはものすごい勢いで改良を続けているし、スゴ録で先鞭をつけたソニーも、液晶テレビを切り開いたシャープなども皆、より平易で自然な使い心地と、見やすい画質・音質に向けて努力している。
それでもなお、製品の熟成は必要だろう。それは意外にも、今のようにとてもまじめに製品を作り上げるエンジニアタイプの製品系列ではなく、ちょっとふざけているんじゃないか、というくらい機能を削ぎ落として特化した製品の中に現れるのかもしれない。
そんなシンプルな製品は、何に使うかがはっきりしているから、多くの人々に浸透しやすいんじゃないか。

思い出してみてほしい。
ウォークマンが世間に出てきた時、それまでのオーディオファンたちは決していい顔をしなかった一方で、熱狂した人々もたくさんいたことを。iPodが世界に広まるなんて、想像もしなかった人たちがたくさんいたことを。

こうした製品は必ずしもエンジニアではなく、独得の発想と思考を持ったリーダーが風穴を開けて、高度な技術の新たなまとめ方を提示することで、開発されてきた。
デジタル化された動画やテレビの分野ではまだ、広く普及しているシンプルプロダクトが現れていない(現在の携帯電話、iPodやWalkman、PSPなどはその域に達していない)。
だから、実はまだ開拓の余地がある。コンテンツの提供形態とともに改革する必要があるから、簡単にはいかないだろう。しかも、下手をすると家電分野ではなく、パソコンの周辺機器として登場してしまう可能性も否定はできない。難しいところだが、次のおもしろい製品も、日本発であればやっぱりうれしいものだ。

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