東京都の青少年健全育成条例改案、3度目に可決の流れ
今年の3/18から3/19にかけて、記事1、記事2、記事3でとりあげた都の青少年健全育成条例改案。
3月および9月の二度の否決からさらに変更を加えて、今度は都議会最大会派の民主党が賛成にまわることで、可決の流れとなっている。既に都議会総務委員会では可決され、12/15都議会の本議会でも賛成多数で成立の見込み。
(たとえば、アサヒ・コムの記事は12/10の経過説明と都議会12/13の総務委員会の記事。YOMIURI ONLINEでも12/13の総務委員会の記事と、12/14の経過説明がある。)
これに対して、コミック10社会(講談社、小学館、集英社、角川書店ら)が東京都主催の東京国際アニメフェア2011への参加を見合わせる、と対抗措置を発表している。
(たとえばアサヒ・コムの12/10の記事。)
この動きは、Twitter上で角川書店重役がつぶやいたことから、瞬く間に広がって、新聞記事より先に知っている方もいたはず。
Twitterでの本条例への反対意見は「表現の自由」という観点からが多い。
また、都知事や副知事がそもそも作家であること、特に都知事の石原慎太郎氏に関しては代表作「太陽の季節」を刊行した人の発言とは思えぬ、といった言葉もよく見受ける。
ただし、これは都議会での出来事。つまり、従来の18禁指定のあり方・枠組みを見直すタイミングとして、たまたま話が通じやすい都知事・副知事をいただいている内に、なんとかやってしまいたいと考えている人々もいたのではないか(憶測ではあるが)。
一方で、東京都はアニメやコミックを輸出産業の一つとして捉えているようなので(でなければ国際アニメフェアなどやらないはず)、輸出商品として性描写を抑制し、他国で受け容れやすい作品を前面に出したい、といった思惑も働いているのかもしれない(これも憶測だが)。
親としてみせたくないマンガなどを子供が手に取れないようにしてほしいと考える親達もいる、ということもあるはず。
さらに、もっと単純に「気持ち悪い人にそばにいてほしくないし、そういう人を生み出しかねない何かはすべて排除してほしい」と考える人もいるかもしれない(ちょっと極端な例だが)。
ただ、そもそも子供にどんなものを見せ、与えていくかは、親(もしくは親相当)が子供の状況を見つつ、また子がある程度成長してきたら話をしながら判断することであり、一律に出来るものではない。
売り場のゾーニング(区分)は今でも行われている。それを超えてこんなものは見せられないと親が思ったら、親が子に対して、そうすればいい。子が言うことをきかないとしても、それを行政に預けることが本当にいいことなのか。
また、親が完全にコントロールすること、さらに教師その他が完全にコントロールすることも不可能だ。万が一意図せぬ形(たとえば同級生や上級生に見せられた等)で子供向けではないマンガを見せられてしまった場合も、親や、心を開ける知り合いなどとともに考えながら成長していくべきもの。
そうやって、グレーゾーンやブラックゾーンがこの世にあることを知りつつも、自分なりの距離の取り方を学んでいくはず。
以前にも書いたが、子供を無菌室で育てられるわけではないし、ある人が何を好むかも千差万別であるし、多くの子供は創作が一種のファンタジーであり、現実そのものではないことも学んでいくものだ。
親が、また所属コミュニティ(地域だけでなく趣味を媒介とすることもあるだろう)が、そのような選択や判断を行っていく相互成長の過程を、本当に自治体や国などに委ねていいのだろうか。
私はむしろ、その点が一番気になる。成立した場合、悪法・悪条例とならぬようにみていく必要があるし、問題が多いと判断する都民も一定数いるなら再考してもいいはずだ、というのが現在の所管である。
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