今回の電子書籍化は縦書き表示を見送った
無事に電子書籍の第1弾を公開したが、先日の第11回文学フリマで配布したチラシにあるように、当初は理想書店を検討していた。
運営しているボイジャーは、1990年代前半から電子書籍に焦点を当てており、PC/Macなど複数の環境で動作する電子書籍ビューアT-Timeは有名。
iPhone/iPadで配信されている多くのアプリ型書籍も、T-TimeのiOS版を使用しているものが多数ある。
縦書き、ルビといった日本語組版にとって重要な仕様を満たしており、「画面上での読書」をよく考えて作成されたソフトウェアだ。
ただし、とりあえずインデペンデントな書籍を発刊しようとすると、PC版(Macを含む)のみで、iPhone/iPad版を出せない(出版社としてのまとまった契約でないため)。
とはいえ、気持ちよく読めるかどうかは重要なので、PC/Mac上のT-Timeを試してみた。キーボードでページをめくるのは問題ない。ただし、MacBookのトラックパッドやMagic Mouse/TrackPadで操作すると、めくる方向と反対に手を動かさないといけない。これは(OSやデバイスの機能上)回避しようがないそうだ。残念ながら直感的な操作とは言い兼ねる。
(これはおそらく、Macの操作環境がiPhone/iPadの影響もあって変化しており、そのために生じている仕様上の落差なのだと思われる。)
そこで、今回はパブーを選択した。
こちらはePubおよびPDFを使用する。ePubは2010年現在、縦書きやルビのような日本語組版の仕様を取り入れていない(基本的に欧米言語中心の仕様)。
このため、縦書きを使用出来ない。縦書きで発刊した作品集だけに残念ではあるが、持ち運べる読書端末・携帯端末で読めなければあまり意味がない。今回は、現在広まりつつあるホットなサービス、パブーを選択した。
ただし、パブーが現在生成するPDFは、非常に情けない出力結果になる。日本語として必要不可欠な禁則処理は行われていないし、文字の間隔や行間、またページサイズなども見やすいとは言い兼ねる。
このため、PDF配布を考えている著者の多くは、自らデザインしたページを直接アップロードする形をとっているようだ。パブーの中の人には、せめてもう少し見やすくなるように頑張っていただきたいものである。
先のエントリーで、ePubでのダウンロードを推奨しているのは、このような理由による。
まだまだ流動的なところが多い電子書籍ではあるが、移動中にメールやブログやTwitterをチェックする画面で、そのまま読むこともできる。お楽しみいただけると幸いである。
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