絶対移動中 vol.10 続報
今年の文学フリマで、絶対移動中が出した新刊「vol.10 妄想×少女」は、どうやら結構好評なようで、12月末のコミケ出店あたりで完売しそうな勢いだそうだ。
自分が参加している冊子でナンだが、実際、今回はよい仕上がりになっていると思う。
表紙のイラストは気合い十分で豪華、版面も以前より凝った仕上がり。
そういう見かけだけでなく、妄想と少女という言葉から連想される作品群は、創作・エッセイ・批評・詩と幅広く、どれ一つとしてテーマもかぶっていない。私のものはともかく、どれも力作だ。
一冊の中で繰り広げられる幅の広さと想像力、それに見合う装丁になり、あるべき定期刊行誌の姿に近づいてきたと感じている。
継続は力なり、か。
というわけで、Amazonでも購入できるし、この冬のコミケにも出店なので、よろしくお願いします。
ところで、私が寄稿したのは「小さな肩を震わせて」という短編。
ピアノ三重奏を定期的に演奏するアマチュア音楽家達。それぞれ大学や社会人などのオーケストラで腕を振るってきたが、中年になり、今は腕のたつ三名でピアノ三重奏を楽しんでいる。
そんなところへ、先輩が自身の娘を連れ、練習に預けていった。美人の高校一年生は、ヴァイオリンを弾くなり天才の片鱗を示す。
彼女は音楽高校でなく、都立の進学校を選んだが、学校の管弦楽部で目指す方向性を巡って対立した挙げ句、退部。人数の少ない室内楽の活動を見学するためにやってきたという。
彼女を受け容れながら、トリオの活動は微妙に変化し始め、また彼女も自分を表し始める……
どこが「妄想×少女」のテーマにからむのか、と思われるかもしれない。
ただ、彼女は容姿だの言動だの、音楽の天才だの方向性だので、自らにかぶさってくる思い込み(妄想)を振り払わざるを得ない。
それに大人達はどのような思いを持ち、接するか。
といったことに、対話劇を持ち込むのは、一度やってみたかったことであり、今回は絶対移動中10号記念で盛り込んでみた。
珍しく自作語りをしてしまったが、どうも私も他人の熱気に当てられたらしい、ということで、今回は多めにみてやって下さい……
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