2月の笙の演奏会
2月下旬、笙を携えて、サロンコンサートに出演してきた。
田島先生によるJohn Cageのソロ曲 "One9" がメイン。John Cage生誕100年、没後20年のメモリアルイヤーであり、Winds Cafeは1年その企画で走っている、その一つ。
私は助演として、その前後に古典雅楽曲から調子を吹く際に、合奏した。
現代の美術、音楽、演劇映画などに造詣の深いお客様が多い。緊張しても仕方ないので、いつものように淡々と吹き、ソロの間は静かに控えながら、間近で聴いていた。
John Cageの "One9" は、全部で2時間半ほどになる大作であり、そこから抜粋して50分弱ほど演奏されたのだが、なんといっても大きな特徴は、厳密な時間構成と、消え入るようなピアニッシモ。
笙に限らず、雅楽では大きな音量変化を要求されない。儀式音楽でもあり、人間的な感情表現を重視するタイプの様式ではないゆえ、だろう。楽器も、メゾピアノからメゾフォルテくらいで、あまり楽器にストレスをかけず演奏することが極めて多い。
そのため、消え入るような音を耳にすること自体、とても珍しい。現代の曲では、ないわけではないが、ここまで笙によるピアニッシモを追求した響きは稀だ。
それが、小さな会場で、それほど多くはない(しかし熱心な)聴衆の集中力により、音なき共鳴とでも言う空気を共有する。
自分が助演するのも忘れて、聴き入っていた。
1月下旬に捻挫して以来、足をサポーターで縛って練習し、本番に臨んだため、必ずしも本調子とは言い兼ねる状態だったが、近年助演などした中で、一番印象に残った演奏会となった。
ケージの年として、おそらく今年は様々な曲が奏でられるだろうが、その最初としても、深く印象に残った。
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